米Gartner, Inc.は,2008年の半導体の世界市場調査の結果を発表した(発表資料)。売上高は,対前年同期比4.4%減の2619億米ドル。過去25年間で半導体の世界売上高が前年を下回るのは,5度目となる。2008年第4四半期の市況の悪化が響いた。この市況の悪化を受けて,多くの半導体メーカーは第4四半期に業績予想の下方修正を発表している。

 Gartner社によれば,2009年の市況はさらに悪化する見通し。2001年のITバブル崩壊の際の半導体需要の減少と比較する調査もあり,それと今回を比べると景気の失速はずっと広範囲で,技術分野の以外も失速しているという。今後,あらゆる半導体企業は,資金流動性の確保と在庫管理に注力すべきだとGartner社は主張する。工場稼働率の低下によって,これからIDM(integrated device manufacturer)企業の粗利益率は大幅に低下するとみるものの,現在の在庫管理が,需要が回復した際の業績回復につながるとする。さらに,健全なバランス・シートを持つ大企業にとっては,戦略的な買収を行うのによい機会となると分析する。

 メーカー別の売上高を見ると,首位は前年に引き続き米Intel Corp.。対前年比1.1%増の341億8700万米ドルを売り上げた。シェアは13.1%。同社は17年連続で首位を維持している。しかも,Gartner社の調査による2007年のIntel社の売上高は,既にスピン・オフしたNORフラッシュ・メモリ事業の分を含んでいるため,継続する事業のみで比べると,Intel社の売上高は前年比で6.5%程度の増加となる。この増加率は,市場全体の平均と比べると11%程度高い。

半導体売上高のメーカー別シェア
半導体売上高のメーカー別シェア (画像のクリックで拡大)

 上位10社の中で,最も高い伸び率を記録したのは8位の米Qualcomm Inc.。前年の11位から上昇した。対前年比15.0%増の64億6300万米ドルを売り上げ,2.5%のシェアを獲得した。同社は2008年第1~第3四半期に大きく売り上げを伸ばした。しかし,第4四半期は,キャリアやOEMメーカーがCDMA端末やチップセットの在庫を削減したことによって,景気後退の影響を受けたという。

 上位10社の中で前年に比べて最も売上高が減少したのは,韓国Hynix Semiconductor Inc.。前年の7位から9位に後退した。売上高は対前年比29.7%減の64億米ドル,シェアは2.4%だった。DRAMとNANDフラッシュ・メモリに注力するメーカーはすべて,供給過剰と価格下落によって2008年に大幅に売り上げが減少したが,Hynix Semiconductor社は中でも最も大きな影響を受けたメーカーの一つだという。

 6位のドイツInfineon Technologies AGも大きく落ち込んだ。売上高は対前年同期比20.8%減の80億7800万米ドルで,シェアは3.1%。DRAMを手掛ける子会社であるドイツQimonda AGの不振などが響いたという。

 2~4位までの順位に前年から変動はなく,韓国Samsung Electronics Co.,Ltd.,東芝,米Texas Instruments Inc.となった。シェアはそれぞれ,6.8%,4.0%,3.7%だった。