携帯電話機を販売するDu社のブース。イスラムの国では女性の写真を勝手に撮るとその配偶者などから強い抗議を受けることもある,と「地球の歩き方」に書いてあったので,距離を置いて撮影した。
携帯電話機を販売するDu社のブース。イスラムの国では女性の写真を勝手に撮るとその配偶者などから強い抗議を受けることもある,と「地球の歩き方」に書いてあったので,距離を置いて撮影した。
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購入したNokia 1200。アラビア語の文字が数字キーに書いてあるが,まったく理解できません。
購入したNokia 1200。アラビア語の文字が数字キーに書いてあるが,まったく理解できません。
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 将来に渡って高成長が期待される中近東のエレクトロニクス市場。その現状,そして今後の展望を調査するために,UAE(アラブ首長国連邦)のドバイにやってきた。

 ドバイは最近,高級リゾートとして日本のテレビ番組で紹介されることも多くなってきた。観光や不動産投資ですっかり有名になったドバイだが,産業的には中近東やアフリカ諸国向けの流通のハブという重要な役割を担っている。

 大阪の関西国際空港から11時間のフライトを経て,早朝にドバイ国際空港に到着した。聞いていた通り巨大な空港で,一日24時間,世界各国からの訪問者を受け入れている。空港のスケールや所々に見られる派手な装飾は,米国ラスベガスのマッカラン国際空港を想起させる。一方で,アバヤと呼ばれる黒い民族衣装を着たアラブの女性の姿や,時にコーランの歌詞が流れる当たりは,イスラムの国に来たことを筆者に実感させる。

 最近,海外出張の際は現地の空港で携帯電話機をレンタルすることにしている。日本でレンタルしていくよりも料金が安いからだ。今回も空港に着くなりそれを探したが,どこにも見当たらない。あるのは地元の携帯電話事業者のブースのみだった。

 そこでドバイに本社を置く携帯電話事業者Du社のブースにいた女性に聞くことに。すると,彼女は「携帯電話機を買った方が安いからこちらではレンタルはないんです。買った方がお得ですよ。Trust me!」とコバルト・ブルーの瞳でこう返してきた。相当な美人だった,からではないが,料金も安かったので彼女の売り文句に乗ることにした。

 購入したのは,フィンランドNokia Corp.の「Nokia 1200」。白黒の液晶ディスプレイを搭載したベーシック・モデルだ。それに20ディルハム(570円)分の通信料が付いたプリペイドSIMカードを含め,合計で148ディルハム(約4200円)だった。ドバイでの通話料は1分間で約9円とかなり安いので,1週間の出張で使う分にはこれでまかなえそうだ。

 ある統計によるとUAEでの携帯電話機の普及率は既に100%に近いという。その理由が分かったような気がする。

 ちなみに空港では,別の「大事な物」も購入した。ビールである。イスラム教では飲酒を禁じている。最も厳格なサウジアラビアでは飲酒は一切禁止。観光が主要産業のひとつであるドバイでは比較的規制は緩いが,それでもお酒が飲めるのは外国人がよく訪れる一部のレストランやホテルのバーだけ。その場合,一杯当たりの価格も高いと聞く。

 そこですかさず,「空港のDuty Free Shopでお酒を買っといた方がいいですよ」という,日本でお世話になった方の助言を思い出す。長旅でもうろうとした頭だったが,Coronaビール6本セットを約900円で無事買えた。