新日本製鉄は2008年12月4日,同社が鉄鋼大手のArcelorMittal社と合弁で展開する表面処理鋼板の製造・販売会社「I/N Kote」について,新ラインの建設を延期すると発表した。北米自動車市場の急激な縮小を受けたもので,同地域での自動車生産が回復する見通しを得るまでは,工事を延期するという。

 I/N Koteは,1989年に新日鉄と米Inland Steel社(現Mittal Steel USA社)が50%ずつを出資して設立した会社だ。主として自動車向けに,溶融亜鉛めっき鋼板や電気亜鉛めっき鋼板の製造・販売を展開している。新日鉄とArcelor Mittal社は2008年4月,北米における自動車鋼板事業を拡大するために,I/N Kote内に新たに自動車鋼板用の溶融亜鉛めっきラインを1ライン増設することで合意。2010年内の稼働開始を目指し,既に一部で建設を開始していた。

 新日鉄とArcelor Mittal社は,中長期的に見れば北米の自動車鋼板市場は成長が期待できる,とみる。そのため,今後も高張力鋼板を含む高級・高品質の溶融亜鉛めっき鋼板を同市場に供給することで,両社のプレゼンスを拡大する考えだ。両社は今後,市場の回復動向を見ながら,新ラインの建設再開時期を協議するという。