【ISSCCプレビュー】集積度を高めたミリ波CMOSトランシーバが登場
ミリ波通信向けCMOSチップの集積度が,じわじわと高まっている。ISSCCではここ数年,CMOS技術を用いたミリ波通信向け送信回路や受信回路に関する開発例が話題となっているが,ISSCC 2009ではいよいよ送受信回路を1チップに集積したトランシーバICや,ベースバンド処理回路と混載した試作例が発表される。
家庭のAV機器間での高速動画伝送アプリケーションや,車載用ミリ波レーダへの適用を視野に入れる。CMOS技術を用いることでデジタル回路も含めて集積化可能なことから,ミリ波通信システムのコストを大幅に低減できると期待されている。
ベースバンド処理回路まで集積
米UCB(University of California,Berkeley校)は,60GHz帯のミリ波通信の送受信回路のほか,ベースバンド処理回路まで含めて1チップのCMOS ICに集積した試作例を初めて報告する(講演番号 18.5)。QPSK変調を用いた時に,最大4Gビット/秒でデータ伝送が可能という。90nmのCMOS技術を使う。1.2V電源で動作し,送信出力が10dBmの際の消費電力が170mW,受信時が138mWである。講演の題名は「A 90nm CMOS Low-Power 60GHz Transceiver with Integrated Baseband Circuitry」。集積度を高めただけでなく,低消費電力を志向するなど,民生機器用途を強く意識して試作したものとみられる。
台湾National Taiwan Universityも,60GHz帯のミリ波通信向け1チップ送受信ICを発表する(講演番号 18.6)。変調方式にOOKを利用し,2.5Gビット/秒を超えるデータ伝送速度を確保できるという。消費電力は286mW。
富士通研究所は,車載用ミリ波レーダに向けた1チップ送受信ICを発表する(講演番号 18.3)。77GHz帯に向けた送受信ICで,90nmのCMOS技術で実現した。73.5G〜77.1GHzの帯域において,3.3〜6.3dBmの送信出力を確保できる。チップ寸法は2.4mm×1.2mmで,消費電力は920mWである。富士通研究所は昨年のISSCCで,90nmのCMOS技術を使った60GHz帯および77GHz帯向けのパワー・アンプを発表していた(Tech-On!の関連記事)。


















