図1 Symbian FoundationのExecutive Directorに指名されたLee Williams氏
図1 Symbian FoundationのExecutive Directorに指名されたLee Williams氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Symbian Foundationの設立メンバーは2008年11月20日,都内で記者会見を開き,Symbian OSを中核とした携帯電話機向けソフトウエア・プラットフォームをオープンソース化する行程を説明した。まず2009年前半までに,Symbian OSのミドルウエア「S60」「UIQ」「MOAP(S)」を統合し,Symbian Foundationの会員企業に無償で提供する。ソースコードの公開は2010年6月を予定する。

 ミドルウエアは,Nokia社が開発するS60を基本に据える。Motorola社およびSony Ericsson社のUIQ,NTTドコモのMOAP(S)については,S60と重複しない機能を加える形で統合する。

 これまでのソフトウエア資産に対する後方互換性について,Symbian FoundationのExecutive Directorに指名されたNokia社 R&D, S60 Software, Senior Vice PresidentのLee Williams氏は「少なくとも,今のS60を基盤にソフトウエアを開発してくれれば,新プラットフォームでも動作する」と明言した。UIQやMOAP(S)で開発したソフトウエアについては,通信事業者が新たなミドルウエアを追加することで互換性を維持できる可能性がある。例えばNTTドコモは「オペレータ・パック」という形で自社の独自追加部分を切り出しており,ここを発展させる形で互換性を維持する考えだ。新プラットフォームの開発環境には,Nokia社が開発した「Carbide」を利用する(関連サイト)。

 2010年6月のソースコード公開に向け,Symbian Foundationの参加メンバーは現在,S60,UIQ,MOAP(S)のソースについて,オープンソース化が可能かどうかを精査中という。「これらのソースコードは数千万行に及ぶ。かなり時間を要する作業になる」(Williams氏)。ソースコードの提供は「Eclipse Public License 1.0」に基づく。ソースコードの公開と共に,サード・パーティが開発したWeb/UI実行環境(ラインタイム)がハードウエアにアクセスするための共通APIを用意する予定という。

 今回の発表に合わせ,Symbian Foundationを支持する企業として,これまでの52社に続き,7社が新たに名乗りを挙げた。国内企業では管理工学研究所,ルネサス テクノロジ,ソフトバンクモバイル,外国企業では中国Borqs社,ポーランドComarch社,スウェーデンHiQ International社,インドLarsen & Toubro Infotech社である。
 

この記事を英語で読む

図2 Symbian Foundationを支持する企業は7社増えて59社に
図2 Symbian Foundationを支持する企業は7社増えて59社に
[画像のクリックで拡大表示]