東レは2008年11月20日,半導体保護膜などに使う感光性ポリイミドコーティング剤で,世界最高レベルの感度と高い寸法安定性を両立させた「PW-3000」シリーズを開発したことを明らかにした。一部の半導体メーカーが既に量産プロセスで採用しており,今後,国内外の半導体メーカーでの採用拡大を目指していく。

 「PW-3000」シリーズの感度は仕上がり膜厚7μmの場合,必要露光量が150mJ/cm2。この感度は従来材料比2倍以上で,世界最高という。さらに,現像時の膜厚の減少量を従来材料比1/2~1/10に抑えて高い寸法安定性も実現している。一般に,感度と膜厚減少量は逆相関の関係にあるとみられていたが,東レはポリイミドの溶解挙動の解析や,感光剤構造の最適設計によって,高感度と膜厚減少量の抑制を両立させた。

 東レの推定によると,半導体保護膜に使うポリイミドコーティング剤の市場規模は約200億円,今後も年率10%程度で拡大する見通しだ。東レのシェアは現在,半導体用ポジ型感光性ポリイミドコーティング剤分野で約40%だが,今回の「PW-3000」シリーズによって新たな需要を取り込み,2010年に50%にまで高めたいとしている。また,半導体保護膜以外への用途展開も積極的に進めていく。