リコーは,同社の複合機向けのLSIに,インベンチュアが開発したPCI ExpressのIPコア「Z-core PCI Express」を導入した過程について,講演した。この講演はインベンチュアが11月12日に新横浜で開催したプライベート・セミナー「PCI Express/DisplayPort セミナー 2008」で行われた。
インベンチュアは,リコーがZ-core PCI Express搭載の複合機向けLSIを開発した,ことを2007年12月に発表している(Tech-On!関連記事)。同LSIはリコーの複合機の「imagio MP C7500」や「imagio MP C6000」に搭載されている。今回のセミナーでは,そのLSIの開発向けに,同IPコアを選定していった過程などが発表された。
登壇したのは,リコーの田中智憲氏(MFP事業本部GW開発センター第二開発室開発一グループ シニアスペシャリスト)と池田純一氏(研究開発本部東北研究所第二研究室 主幹研究員)である。同社は,従来,PCIのインタフェースのLSIを開発してきたが,PCIの速度に限界を感じて,PCI Expressの導入を検討した。検討はPCI Express規格のドラフトが発表された2002年5月から始めたという。
まず,PCI Expressを評価
他の候補には「HyperTransport」や「Infiniband」などがあったが,将来性やPCIとの連続性を重視し,「すぐにPCI Expressに決まった」(田中氏)。PCI Expressに決めた後には,C言語で性能予測用のモデルを開発し,PCI Expressによる通信の基本特性の評価に入った。スペック的にはPCI ExpressがPCIを上回るものの,複合機での画像データの同期転送に十分な性能をPCI Expressが満たすかどうかを確認するためである。
例えば,パラレルのPCIからシリアルのPCI Expressになったことでレイテンシがどの程度増加するのかが気になっていた。また,PCIに比べてPCI Expressはパラメータ数が多く,パラメータの最適な組み合わせを求めるのが大変そうだったこともある。