環境省は2008年11月12日、2007年度の国内における温室効果ガス排出量の速報値を発表した。総排出量は13億7100万t(CO2換算)で前年度比2.3%増となり,過去最高を更新した。京都議定書によって義務付けられている目標は基準年(CO2は1990年)比6%削減。2007年度の総排出量は基準年比8.7%増に当たるので,削減目標を14.6%上回っている。

 部門ごとの排出量の対前年度比の増減は,工場などの「産業部門」が3.6%増,「運輸部門」が1.6%減,オフィスや商業施設など「業務その他部門」が1.2%増,「家庭部門」が8.4%増,発電所や石油精製所などの「エネルギ転換部門」が3.6%増となった。この増加には,地震の影響で東京電力の柏崎刈羽原子力発電所が停止したことが大きく影響しているという。

 現状では削減目標を14.6%上回っているが,原子力発電所が想定通り稼動して発電にかかわるCO2が計画通り削減でき,さらに森林による吸収分と海外からの排出量の移転(購入)分を勘案すると,今後の削減必要量は1.1%になると,環境省は試算している。