カシオ計算機は,2008年4~9月期の決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年同期比7.4%減の2723億9800万円,営業利益は同32.5%増の182億1100万円,純利益は同77.5%増の97億2200万円だった。景気減速による需要低迷や世界市場での競争激化などによって減収となったものの,製品の高付加価値化といった収益体質の強化によって増益を達成したという。

 事業別に見ると,デジタル・カメラや携帯電話機を手掛ける「エレクトロニクス機器事業」の売上高は,対前年同期比2.2%減の2371億1600万円。携帯電話機や流通・物流向けの携帯機器を含む「MNS」部門と時計部門の売上高が伸びた。携帯電話機「W61CA」や「W62H」などの販売が好調に推移したという。ただし,デジタル・カメラや電子辞書を含む「コンシューマ」部門は前年同期と比べて減収。デジタル・カメラは,新製品「EXILIM ZOOM EX-Z300/Z250」などを市場投入したものの,製品価格の下落や販売台数の減少などが響き,売上高が減少した。エレクトロニクス機器事業の営業利益は同18.7%増の211億1200万円。携帯電話機の増収に伴う増益や情報機器の収益の改善などが貢献した。

 一方,「デバイスその他事業」の売上高は対前年同期比31.9%減の352億8200万円。営業利益は前年同期の赤字から回復して7600万円の黒字となった。TFT液晶パネルの単価下落や子会社であるカシオマイクロニクスの不採算事業の譲渡などによって減収となったが,不採算事業の整理によって営業利益は増加した。

 カシオ計算機は,2008年度通期の業績予想を下方修正した。売上高を前回発表より500億円引き下げ5800億円に,営業利益を170億円引き下げ300億円に,純利益を95億円引き下げ135億円に変更している。欧州通貨の下落とデジタル・カメラや携帯電話機,デバイス事業における価格下落が見込まれることが要因という。ただし,時計や電子辞書,電卓などの事業は順調に推移するとみている。