持ち運びやすい独特の形状
持ち運びやすい独特の形状
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防水性能があることをアピール
防水性能があることをアピール
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ふき取りやすいように,凹凸の少ない形状にした
ふき取りやすいように,凹凸の少ない形状にした
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 パナソニックは,「ヘルスケア向け」とうたうタブレット型のモバイル・パソコンを2009年3月10日に発売する。病院などで医師や看護士が電子カルテや医療用アプリケーションを操作する用途を想定したものである。医療現場での利用に向けて,耐薬品性能や耐衝撃性能,防塵・防滴性能などを備えたほか,持ち運びやすい独特の形状が特徴だ。

 電子カルテなど医療現場のIT化が進むにつれ,医師や看護士が現場でパソコンやPDAなどを使うケースが増えている。しかし,こうした用途に特化したパソコンはこれまでほとんど存在せず,通常のパソコンを流用していた。このため,現場からは,耐薬品性能や耐衝撃性能に加え,電池の駆動時間や持ち運びやすさなど幾つかの使い勝手に対しての要望が挙がっているという。「看護士の人手不足や経費削減などによって,医療現場のIT化はますます加速するため,ヘルスケア向けのパソコン市場は今後,急成長が見込める有望な市場だ。ここに,我々が『TOUGHBOOK』シリーズで培ってきた技術を生かすことができる」(パナソニック AVCネットワークス社 副社長の伊藤好生氏)。

 耐薬品性能としては,アルコールや次亜塩素酸などでの消毒時の腐食を防止した。数万回におよぶふき取り試験をクリアしているとする。パナソニックが新規開発した表面材質によって実現したという。

 耐衝撃性能については,「MIL-STD-810F 516.5」に準拠する。内部をマグネシウムのシャーシ構造にすることで基板を保護した。筐体材料には,高剛性の樹脂を採用したとする。

 防塵・防滴性能に関しては,ファンレス設計にして空気の吸入口や排出口をなくした。さらに,ボタンと一体化した防水シートなどを採用して水滴やホコリの進入に対処した。

 このほかにも,医療現場での利用を想定したいくつかの特徴がある。例えば,パソコン全体をふき取りやすいように前面も裏面も凹凸のないような形状にした。

 業務を中断させないように,仕様上は約8時間の電池駆動を実現した。2900mAhの電池パックを2個搭載するほか,米Intel Corp.の低電力型マイクロプロセサ「Atom」を採用した。

 パソコンのプラットフォームには,Intel社がヘルスケア市場用端末に向けて提唱する「MCA(mobile clinical assistant)」に準拠した。これは,10型以上の画面寸法,ペン入力機能,WiFiやBluetoothによる無線通信機能,RF-IDやバーコードの読み取り機能,指紋認証センサなどのハードウエアとアプリケーションを組み合わせたものである。今回の端末も,これらの機能が利用できる。画面寸法は10.4型である。

 希望小売価格はオープンだが,市場想定価格は26万円。年間37万台の生産を予定する。

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