販売金額の前年割れが常態化しているPDPテレビのみならず,液晶テレビの販売金額も前年割れしたことを示すグラフ
販売金額の前年割れが常態化しているPDPテレビのみならず,液晶テレビの販売金額も前年割れしたことを示すグラフ
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 BCNは2008年11月6日,大手パソコン販売店のPOSデータを集計したBCNランキングから見たデジタル家電の市場動向を発表した。これまで成長を続けてきた薄型テレビの同年10月の販売金額が前年同月比98.2%と前年割れしたのが最大の話題。液晶テレビが99.6%,PDPテレビが90.9%といずれも前年割れした。パソコンは,低価格のミニ・ノートの好調により販売台数は増加したが,平均単価は大幅に落ちた。BD/DVDレコーダーは年末商戦に向け好調。デジタル・カメラは一眼レフの存在感が高まる一方,コンパクト・カメラは苦戦を強いられている。

 薄型テレビの足を引っ張っているのが,大型テレビの伸び悩みだ。40型以上が2008年半ばからじわじわ下がってきているという。40型以上50型未満のカテゴリでは,2007年10月の販売台数の前年同月比伸び率が175.4%だったのに対し,2008年10月には129.2%に下がった。50型以上は,2007年10月に137.9%だったのに対し,2008年10月は103.0%になっている。50型以上の販売金額は,2008年10月には88.6%と前年割れ。薄型テレビ全体に対する50型以上の台数構成比は,2007年10月は2.5%だったが,2008年10月は2.2%に下がっている。

 原因は,40型以上の割高感だ。2008年10月の平均単価(税抜き)は,30型以上40型未満が11万9300円なのに対し,40型以上50型未満は19万9700円と約8万円の開きがある。50型以上は34万6100円とさらに高い。メーカーは50型以上の製品の高付加価値化を進めているため,50型以上の単価はむしろ上昇傾向にあるという。

 BCNのアナリストである田中繁廣氏によると,2005年以降,薄型テレビの販売金額が前年割れを記録したことが過去に1度だけあるという。2006年6月に開催されたサッカーのワールドカップ需要の反動で,2007年5月に前年割れした。ただ,これはあくまで一過性のもの。今回の不振は「短期間で改善するものではない」と同氏は考えている。大型テレビが伸び悩んでいるのに加え,景気悪化による消費の低迷が予想されるからだ。田中氏は「日本の住宅事情を考えると,大型テレビが本当に伸びるのか? むしろ日本のリビングに合っている30型台の製品が主流になっていくのではないか」と述べた。

 パソコンは,2008年10月の販売台数が前年同月比129.2%と2桁の伸びを示した。10.2型以下の液晶パネルを搭載するミニ・ノートの好調が貢献している。ただ,台湾ASUSTeK Computer Inc.の「Eee PC」をはじめとするミニ・ノートは低価格を特徴とするため,単価は下落している。2007年10月の全体の平均単価が13万5400円だったのに対し,2008年10月の単価は10万4600円と約23%下がった。ノート・パソコンの販売台数のうちミニ・ノートが占める割合は,2008年10月には25.0%まで伸びている。B5ノートはミニ・ノートの台頭で苦戦しているが,A4ノートはミニ・ノートが話題になり店頭の客足が増えた影響から,プラス成長を確保した。

 BD/DVDレコーダーは,2008年10月の販売台数が前年同月比115.8%,販売金額が132.4%と好調を維持している。同月のBDレコーダーの構成比は,台数ベースで47.6%,金額ベースで65.3%。年末商戦では,台数で過半数,金額で7割の構成比になりそうだという。

 デジタル・カメラは,2008年10月の販売台数が前年同月比99.5%,販売金額が92.7%と振るわない。これは,コンパクト・カメラの同月の台数が97.5%,金額が85.4%と不振であるためだ。対照的にデジタル一眼は好調。同月の台数は124.9%,金額は120.3%である。デジタル一眼の同月の構成比は,台数ベースで9.2%,金額ベースで27.3%だった。

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