三洋電機は2008年度上期(2008年4~9月)の連結決算を発表した(PDF形式の発表資料)。売上高は前年同期比2.5%増の1兆66億5900万円,営業利益は同11.3%減の239億6500万円の増収減益だった。

 好調だったのは,2次電池や太陽電池といったエナジー事業領域である。売上高は2767億円,営業利益は375億円だった。携帯電話機向けが低迷するも,従来のノート・パソコン向けとは別にネットブック向けLiイオン2次電池が堅調に伸びているとする。2次電池製品全体の売上高は前年同期比20%増の2051億1000万円だった。太陽電池は欧州を中心に好調で,売上高は同37%増の469億700万円だった。エナジー事業領域は2008年度下期も引き続き堅調であると予想しており,2008年度通期の売上高は同13.2%増の5530億円,営業利益は同10%増の612億円になると見込む。期初の計画に比べて,それぞれ10.6%増,36%増と,好業績になると予想する。

 一方,市況悪化の打撃を大きく受けたのは,エレクトロニクス事業領域である。売上高は4650億円,営業利益は8億円だった。デジタル家電のうち,特にテレビは北米市場の金融不安の影響が直撃し,第2四半期(2008年7~9月)から急激に市況が悪化して単価が下落した。第1四半期(2008年4~6月)は米国を中心に好調で,テレビの売上高は前年同期比38%増の347億4000万円と伸長していたが,第2四半期には同13%減の235億3600万円に落ち込んだ。完成品の単価下落は電子部品部門にも数量減少や単価下落として影響しているとする。パワー半導体を除く半導体が不調で,上半期(4~9月)の売上高は同13%減の760億600万円,営業損失は58億円になったとする。パソコン向け光ディスク装置に向けた光ピックアップについても数量減少などに伴い,売上高は同24%減の520億4800万円に落ち込んだ。

 エレクトロニクス事業の2008年度通期の業績については,売上高が同5.5%減の9340億円,営業利益は同57.6%減の181億円と,計画を下回ると予想する。特に,第3四半期(10~12月)については「電子部品と半導体の市況がさらに厳しくなり,予断を許さない状況になる」(三洋電機)とする。テレビや光ピックアップについては生産拠点の再編成により収益改善を図り,好調なキャパシタについてはインドネシアや中国における生産能力の拡大や新製品の投入によって需要を獲得するとしている。半導体事業に関しては抜本的なコスト改革が必要と見ている。具体的には,パワー半導体分野に開発投資や設備投資,技術者などの人的リソースを集中すること,および生産拠点の再編成などによって固定費を削減することで,損益分岐点を100億円単位で引き下げ,収益を得られる体制を整えるとする。

 大型エアコンやショーケースといった業務用機器,白物家電を扱うエコロジー事業領域は,売上高が2521億円,営業利益が2億円だった。2008年度通期では,景気悪化による国内外の業務用大型空調の不振の影響が大きく,売上高は前年同期比2.3%減の5040億円,営業利益は58.6%減の29億円に落ち込むと見込む。

 一部新聞などで報道されているパナソニックによる買収に関して,「様々な検討はしているが,現時点で決定したことはなく,発表できることはない」(三洋電機)としている。