中間決算を発表する執行役専務の中村豊明氏
中間決算を発表する執行役専務の中村豊明氏
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 日立製作所は,2008年度中間期(2008年4月~9月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比で1%増の5兆3105億円,営業利益は同62%増となる1920億円と増収増益だった。売上高はAV機器や空調機器などを扱うデジタルメディア・民生機器部門の売上高が落ち込んだものの,情報通信システム部門と電力産業システム部門の増収により支えた。営業利益は,HDD事業が前年度第4四半期から引き続き黒字化していることや,売上高は減少しているもののデジタルメディア製品の赤字幅が構造改革により縮小したことが功を奏したという。

 売上高は国内外とともに堅調に推移した。国内の売上高は前年同期比とほぼ同じ3兆82億円で,海外では同1%増の2兆3023億円だった。海外は中国やインドといったアジアが好調で前年同期比5%増の1兆752億円となったが,景気が後退している北米は前年同期比7%減となる5201億円だった。

 部門別に見ると,情報通信システム部門は売上高が前年同期比2%増となる1兆2817億円で,営業利益が同5.8倍となる721億円と大幅な増益となった。貢献したのがハードウエア関連で,営業利益が前年同期の赤字から512億円増となる259億円に回復した。米Hitachi Global Storage Technologies, Inc.(HGST社)が手掛けるHDD事業の収益が大幅に改善したほか,通信ネットワークやATMなどが好調に推移した。ソフトウエア/サービス関連ではアウトソーシングやコンサルティング事業が好調だったことに加え,プロジェクト管理を強化したことで,営業利益は前年同期比23%増となる462億円だった。HDD事業の状況については2008年7月~9月期で売上高14億7700万米ドル,営業利益8500万米ドルを達成しているという。

 電子デバイス部門は,売上高が前年同期より微減の6411億円で,営業利益が同11%増となる285億円の増益となった。連結対象の日立ハイテクノロジーは半導体関連製造装置の需要減で減収減益だったが,中小型液晶を扱う日立ディスプレイズが黒字に転じたことで増益となった。

 電力・産業システム部門は,売上高が前年同期比6%増となる1兆6938億円で,営業利益が前年同期よりも1億円減となる635億円だった。海外を中心に石炭火力設備の売上が増加したほか,鉄道車両や昇降機などが好調に推移した。ただ,自動車機器事業は欧米を中心に自動車市場が2008年9月に入り急速に低迷したことで減収となった。建設機械については,連結対象である日立建機の海外事業が中国などで好調で増収となった。

 薄型テレビやビデオ・カメラ,白物家電などを扱うデジタルメディア・民生機器部門は,売上高が前年同期比4%減となる6955億円で,営業利益は前年同期よりも242億円減となる266億円の赤字だった。空調機器は好調だったものの,薄型テレビやビデオ・カメラが減収となった。PDPテレビは北米と中国で,液晶テレビは欧州で落ち込んだ結果,PDPテレビは当初想定した計画よりも8万台減となる32万台,液晶テレビは同7万台減となる33万台だった。

 日立製作所は,2008年度通期の業績予想についても公表した。売上高は11兆9000億円,営業利益は4100億円と,2008年5月に発表した見通しに比べて売上高は2000億円減少したが,営業利益は300億円増えている。前年同期比では売上高が3%減で,営業利益が19%増と,7年ぶりの減収となるが増益を見込んでいる。