京セラの2008年度上期(2008年4月1日~9月30日)の決算は,売上高が6587億1700万円で前年同期比3.5%増,営業利益は前年同期比8.2%減の622億2900万円だった。売上高の伸びは,三洋電機から引き継いだ携帯電話端末事業の売上が加わったことや太陽電池事業が好調だったため。営業利益の減少は,米国市場の減速で半導体製造装置向け,自動車向け部品が低調だったほか,デジタル家電機器需要の鈍化や単価下落などによってコンデンサなど電子デバイスの売上が低迷したこと,欧米の急速な景気減退によるデジタル複合機などの販売が低迷したことなどによる。

 また,2008年度の通期業績予想を下方修正した。4月に発表した前回予想と比較して,連結売上高は2360億円下回る3.9%減の1兆2400億円,連結営業利益は710億円下回る51.4%減の740億円とした。

 下半期は,金融市場の混乱が実体経済に影響を及ぼし,クリスマス商戦におけるデジタル家電機器の売り上げが盛り上がりに欠ける状況になると予想する。その予兆として,京セラ 執行役員 経営管理本部長の満田正和氏は,「例年デジタル家電のクリスマス商戦に先行する部品の需要が盛り上がっていない」という事実を指摘した。下半期の部品需要,国内外の携帯電話端末の需要,企業の情報化投資はいずれも低迷する見通しで,円高ユーロ安の進行も業績に悪影響を及ぼすとした。ただし,太陽電池事業については,欧米を中心とする海外市場で旺盛な需要があり,世界的な環境意識の高まりもあって好調を持続するとした。

 2008年4月に三洋電機から端末事業を承継した携帯電話端末事業では,売上高は増加したが,割賦販売制度への移行による国内市場の鈍化,北米市場における低価格機との競争激化などにより利益は減少した。今後は,旧三洋電機と京セラの携帯電話端末の研究開発体制の融合を進め,シナジー効果を狙うほか,京セラ流のコスト管理手法の導入で端末ごとの収益性を向上させる。満田氏は「2009年度にはこれら対策の効果が出始める」とした。