富士フイルムホールディングスの2008年度中間決算(4月~9月)は減収減益だった。売上高が前年同期比4.9%減の1兆3384億8600万円,営業利益が同25.2%減の812億7300万円である。アルミや銀などの原材料費の高騰が営業利益に約115億円の悪影響を及ぼしたという。為替が円高に推移したことも,同じく約109億円のマイナス影響となった。

記者会見の様子。中央が代表取締役専務執行役員CFOの高橋俊雄氏。
記者会見の様子。中央が代表取締役専務執行役員CFOの高橋俊雄氏。 (画像のクリックで拡大)

 同社が手掛ける主要3事業の中で「市場環境が最も厳しかった」(代表取締役専務執行役員CFOの高橋俊雄氏)とするイメージングソリューション事業は,売上高が前年同期比20.8%減の2311億円となり,営業損益は59億円の赤字に転落した。写真フィルムやデジタル・ミニラボの需要が縮小しているのに加え,デジタル・カメラの単価下落が収益を圧迫している。デジタル・カメラは出荷台数が前年同期比20%増の430万台と伸びたものの,平均販売単価は前年同期から20%程度,低下したという。「北米などで在庫がたまってしまった。デジタル・カメラは半年で大きく価格が落ちる製品」(高橋氏)。通期では900万台の出荷を計画しているが,利益の出にくい状況となっている。

FPD材料が調整局面に

 FPD材料やカメラ付き携帯電話機用レンズ・ユニットを扱うインフォメーションソリューション事業は,売上高がほぼ前年同期並みの5415億円,営業利益は前年同期比28.5%減の472億円だった。これまでは好調に推移していたFPD材料がこの上期はやや減速した。液晶パネル用の保護フィルムや視野角拡大フィルムが売り上げを伸ばしているが,8月に入ってパネル・メーカーの生産調整の影響を受けたという。

 プリンターや同複合機などを扱うドキュメントソリューション事業は減収ながら増益だった。売上高が前年同期比1.4%減の5658億円,営業利益は同21.3%増の420億円である。原価低減や販売管理費の削減が順調に進捗しているという。

 通期(2008年4月~2009年3月)の業績予想は,8月に下方修正したものから変更はない(Tech-On!関連記事)。為替は米ドル95円,ユーロ130円と円高を見込んでいるが,アルミや銀など主要材料の価格が低下傾向にあり「円高影響のほとんどは吸収できそうだ」(高橋氏)。ただし,世界経済の不透明感から「予測を立てるのが難しい。FPD材料も,長期的には伸びる事業だが,現在は一時的に調整局面に入っており,この下期は業績下ブレの要因になる可能性もある」(同)とした。