東芝は,2008年度上期(4月~9月期)の決算結果を発表した。売上高は対前年同期比5%減の3兆4958億円,営業損益は235億円の赤字となった。同社は前年同期には825億円の営業利益を計上しており,損益が1060億円悪化した。

 今回の決算での不振の主要因は,半導体部門の業績悪化である。同部門の売上高は対前年同期比15%減の6094億円となり,営業損益は595億円の赤字となった。同部門の前年同期の営業損益は651億円の黒字だった。NANDフラッシュ・メモリの価格下落,およびデジタル民生機器向け半導体の需要減により,売上高と営業損益が大幅に悪化したという。今回の595億円の営業損失の内訳は,「約60%がメモリ事業の損失,約40%台後半がシステムLSI事業の損失,残りはディスクリート事業の利益」(同社)という。同社が半導体部門で営業損失を計上したのは,半期ベースでは,「DRAM撤退に追い込まれた2001年度下期以来,6年半ぶり」(同社)となる。

 セグメント別に見ると,「家庭電器」部門も不振だった。同部門の売上高は3654億円と前年同期比5%減だったが,営業損益は71億円の赤字だった。個人消費の低迷により家電事業が低調で,照明事業も住宅着工減少の影響を受け,減収となった。損益面では,減収によるマイナスの影響に加えて,製品価格の下落や原材料の価格高騰などが響いた。

 これに対して,「デジタルプロダクツ」部門と,「社会インフラ」部門は好調だった。デジタルプロダクツ部門は,売上高が対前年同期比4%減の1兆3767億円にとどまったものの,営業損益は287億円の黒字を確保した。同部門の前年同期の営業損益は3億円の黒字だった。今回,テレビおよびパソコンの売上高拡大,およびHD DVD事業の終息の影響などにより大幅な増益を達成した。同社の今回の上期決算では,「テレビ事業は黒字,HDD事業は黒字,携帯電話機事業は赤字」(同社)だったという。

 社会インフラ部門は,売上高が前年同期比でほぼ横ばいの1兆902億円,営業損益は238億円の黒字だった。発電システム事業,電力流通・産業システム事業が好調で増収となった。さらに,損益面では発電システム事業,電力流通・産業システム事業の好調に加えて,医用システム事業も引き続き堅調だったことが貢献した。