常務取締役 経営戦略本部長の久保田健二氏
常務取締役 経営戦略本部長の久保田健二氏
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 セイコーエプソンは2008年度中間期(2008年4~9月)の決算を発表した(発表資料)。売上高は対前年同期比6.2%減の6157億8400万円,営業利益は同25.8%増の280億800万円,純利益は同259.8%増の117億2000万円。インクジェット・プリンターの低価格品の構成比が上昇したことや円高の影響などによって減収となったものの,ディスプレイ事業の構造改革による費用削減効果やアモルファスSi TFT液晶パネルの販売増などによって増益を達成した。

 ただし,第2四半期(2008年7~9月)の業績のみを見ると減収減益。売上高は対前年同期比7.7%減の3115億700万円,営業利益は同46.8%減の56億3400万円,純利益は同27.9%減の14億2000万円だった。同社の常務取締役 経営戦略本部長である久保田健二氏は,「第1四半期の業績は為替の追い風もあり社内計画を上回ったが,第2四半期からサブプライム・ローン問題などの影響が事業の採算性を圧迫し始め,第2四半期のみの業績は計画を下回った。ただし,第1四半期が大幅に計画を上回っていたため,上半期全体で見ると増益になった」と説明した。

 部門別に見ると,情報関連機器分野の中間期の売上高は対前年同期比5.3%減の4054億円,営業利益は同25.3%減の259億円だった。プリンターやプロジェクターの販売数は伸びているものの,価格低下や円高が影響して減収につながった。減益の主な要因は,欧米の景気低迷を受け,採算性の高い法人向けPOSシステムなど販売が2008年6月ごろから減ってきたことなどによるという。

 ディスプレイ事業などを含む電子デバイス分野の売上高は,対前年同期比7.6%減の1869億円。営業利益は前年同期の赤字から回復して64億円の黒字を計上した。久保田氏は中間期のディスプレイ事業について,「アモルファスSi TFT液晶パネルや低温多結晶Si-TFT(LTPS)パネルでは,付加価値の高い注文を受注するという厳しい条件付きの事業展開を図っている。この結果,上半期では利益を出すことができた。しかし,これは条件に合致する注文が得られたためで,ディスプレイ事業そのものが利益の出る体質に変わったわけではないと考えている」とした。引き続き,ディスプレイ事業の構造改革を進めるという。

通期予想を下方修正,売上高を370億円引き下げる

 同社は,2008年通期(2008年4月~2009年3月)の業績予想を下方修正した。売上高を前回予想から370億円引き下げ1兆2630億円に,営業利益を230億円引き下げ450億円に,純利益を80億円引き下げ270億円に変更した。修正の理由は,景気後退などが同社の主要製品市場に影響を及ぼす懸念が強まってきたためとしている。