中間決算を発表する経営執行役上席常務の加藤和彦氏
中間決算を発表する経営執行役上席常務の加藤和彦氏
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 富士通の2008年度中間決算(2008年4月潤オ9月)は,売上高が前年同期比2.4%減の2兆4537億円,営業利益は同12.3%減の385億円と減収減益となった。為替の影響を除くと売上高はほぼ前年同期並みとの見解を示した。国内の公共機関や金融,ヘルスケア分野でのSI事業が伸張したほか,携帯電話基地局装置や携帯事業者向けルータ装置が好調だった。一方,ロジックLSIや電子部品などを扱うデバイスソリューション部門と,携帯電話機やパソコン,HDDなどを扱うユビキタスプロダクトソリューション部門が不調だった。

 事業分野別では,主力のサービスやシステムプラットフォームを扱うテクノロジーソリューション部門は増収増益だった。売上高は前年同期比1.2%増の1兆5249億円,営業利益は同48%増の573億円である。国内向けの売上高はSI事業や携帯電話基地局装置や携帯事業者向けルータ装置が増収となり,前年同期比7.4%増の9962億円だった。一方,海外向けの売上高は同8.9%減の5286億円と減収となったが,為替の影響を除くと2%の増収だったとしている。特に海外向けのサービス事業は民間需要向けが堅調で,為替の影響を除くと5%の増収だったという。

 ユビキタスプロダクトソリューション部門は,売上高が前年同期比9.3%減の5214億円,営業利益が同68%減の88億円と大幅減益となった。国内では携帯電話機の割賦販売に伴い,販売台数が減少したことや,パソコンの価格下落や企業向けの需要が伸び悩んだ。海外は500ユーロ以下の低価格パソコン(ULPC)市場が拡大し,同社が高機能パソコンを提供するFujitsu Siemens Computers(Holding)B.V.の販売台数が減少した。さらに,ULPCの拡大により富士通が手掛ける高容量HDDの市場が縮小したことが大きな要因となっている。

 デバイスソリューション部門は,売上高が前年同期比11.8%減の3509億円,営業利益は同134億円減で73億円の損失となった。国内向けの売上高は,自社製サーバーや画像処理用に65nmのプロセスを使ったロジック製品が好調だったが,90nmのプロセスを使ったロジックLSIなどがデジタル家電や携帯電話機向けで需要が低迷した。さらに,携帯電話機向けフラッシュ・メモリや電子部品などが低迷し,前年同期比11.8%減となる2138億円の減収となった。一方,海外向けの売上高は前年同期比0.4%増となる1371億円と増収だった。しかも,為替の影響を除くと9%の増収を達成しているという。アジア向けを中心に画像処理用の製品が伸張したという。

売上高は3000億円下方修正


富士通は2008年通期での連結業績予想を下方修正した。売上高は5兆500億円で,営業利益は1500億円と,2008年7月31日に公表した予想から売上高を3000億円,営業利益を700億円引き下げた。特に,パソコンや携帯電話機,HDD,ロジックLSI,電子部品などが減収を予想し,営業利益はユビキタスプロダクトソリューション部門で300億円,デバイスソリューション部門で450億円減額した。

 同社では「2009年上半期までは景気低迷が続く」とみている。それでも不振のロジックLSIについては90nmのプロセス設備を65nmのプロセス設備にシフトするとしている。その理由について,65nm品の需要が高いことと,ここで投資計画を緩めてしまうと来期以降のコストダウンにつながらないとした。