JVC・ケンウッド・ホールディングスは2008年10月27日,子会社である日本ビクターとケンウッドそれぞれの中間決算(2008年4月~9月)を発表した。ビクターとケンウッドは経営統合に伴って2008年9月25日に上場廃止となっており,これが2社それぞれで発表する最後の決算になる。

 ビクターの中間決算は減収ながら損益は改善した。売上高は前年同期比18.2%減の2701億4700万円,営業損益は前年同期の53億8000万円の赤字から好転して13億900万円の黒字となり,純損失も前年同期の1/5程度に縮減して80億9500万円となった。デバイス事業の売却を進めたこと,液晶テレビの国内事業を縮小したことなどで,売り上げは減ったものの赤字も小さくなった。

 ケンウッドの中間決算は減収減益だった。売上高が前年同期比6.5%減の800億9000万円,営業利益は同40.8%減の15億4700万円,純利益は同93.8%減の7400万円である。売り上げはカー・エレクトロニクス事業の好調により期初の計画を上回ったという。減益は円高の影響が大きく,為替影響分を除けばカーエレ事業は黒字転換したとする。

会見の様子。左からJVC・ケンウッド・ホールディングス 取締役副社長兼CFOの尾高宏氏,代表取締役会長兼CEOの河原春郎氏,執行役員兼財務戦略部長の武田雅亮氏。
会見の様子。左からJVC・ケンウッド・ホールディングス 取締役副社長兼CFOの尾高宏氏,代表取締役会長兼CEOの河原春郎氏,執行役員兼財務戦略部長の武田雅亮氏。 (画像のクリックで拡大)

 JVC・ケンウッドは,通期(2008年4月~2009年3月)の業績予想に関して,2008年10月1日発表の予測を据え置くとした。ただし,為替の前提は米ドル105円,ユーロ150円としていたのを米ドル100円,ユーロ130円へ修正する。為替差で営業損益に50億円を超える悪影響が出る見込みだが,カーエレ事業の損益改善などで計画達成を目指す。

 カーエレ事業は,自動車の新車販売低迷を受けてOEM事業が苦戦しているものの,JVC・ケンウッドのカーエレ事業の8割を占めている市販事業に関しては,新車販売動向の影響を受けにくいという。下期はこの市販向け新製品を,例年通りならば2009年1月~3月期に投入するところ,2008年10月~12月期に一部を先行投入し,この下期中に収益を拡大する方針。さらに,デジタル家電事業では,引き続きオーディオの不採算機種の絞込みを進め,収益事業であるビデオ・カメラ分野で高付加価値の新製品を投入するなどして業績の改善を図る。