米IBM Corp.は,中国の上海に新たな研究センターを設立すると発表した(発表資料)。IBM社は,この研究所を通じて,同社の知見を顧客に提供する機会を増やすほか,IBM社が中国の大学やその他の研究機関と協業する機会を拡大することを狙う。

 上海における研究センターの開設は,IBM社の中国の研究センター「IBM China Research Laboratory」の拡張計画の一環。IBM China Research Laboratoryは,IBM社が世界に持つ八つの研究センターのうちの一つで,1995年に中国の北京に設立された。

 上海の研究センターでは,主に情報分析やウェブ上のサービスに向けたコンピューティング技術,クラウド・コンピューティング技術,ストリーム・コンピューティング技術といった革新的な研究分野を扱う。現在,企業はデータ量やエネルギー費用の急増に直面しているため,クラウド・コンピューティングなどの技術が重要になってきているという。IBM社は,アプリケーションの作業負荷やリソースの利用,電力消費量などの要素をモニターし,作業負荷の調整を行ったり,不必要な消費電力を抑えたりするシステムの開発などを行っている。

 さらに,同研究センターは,中国の大学のカリキュラムにIBM社が提案した新しい学問分野であるService Science, Management and Engineering (SSME)を組み込むことにも力を注ぐという。SSMEは,サービスを提供する組織で求められる技術を習得するための分野で,コンピュータ・サイエンスや産業工学,事業戦略,経営科学,社会科学および認知科学,法律学などを含む。

 IBM社の研究部門を率いるSenior Vice President and Director of IBM ResearchのJohn E. Kelly III氏は,「研究の性質は変化しており,よりオープンかつグローバルに,また他の機関との協業が重要になってきている」とコメントを寄せている。