「ラウム」に採用したポリ乳酸のスペアタイヤ・カバー
「ラウム」に採用したポリ乳酸のスペアタイヤ・カバー
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 トヨタ自動車は,2008年10月15~17日にパシフィコ横浜で開催された「BioJapan 2008」の併設セミナー「バイオプラスチック ユーザーから見たバイオマス・プラスチックへの期待」において,2015年までにクルマに使用するプラスチックの20%(質量比)をバイオ・プラスチックに置き換える考えを示した。

 トヨタ自動車は2003年,バイオ・プラスチックを初めてクルマに利用した。具体的には,「ラウム」に採用したスペアタイヤ・カバーとフロア・マットに,ポリ乳酸とケナフを混合した材料を用いた(Tech-On!関連記事)。しかし,「この事例以降,バイオ・プラスチックは使っていない」(同社 第1材料技術部 SSEの松田雅敏氏)という。

 この理由について松田氏は,「物性や成形性などの性能とコストのバランスの点で,採用を広げるに至っていない」と説明する。

 しかし,CO2排出量の削減という全社的な目標の中で,バイオプラスチックに寄せる期待は高いという。冒頭のような利用比率を実現するためにも,耐熱性や成形性,耐衝撃性,長期信頼性といった課題に対する技術的なブレークスルーが必要であるとした。自社においても,こうした課題に対する改良の検討を進めているという。

 現在,クルマに使用するプラスチックの比率としては,50%弱がポリプロピレン(PP)で,このほかポリ塩化ビニル(PVC)やポリウレタン(PU),アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)といった主要材料を合わせるとほぼ80%に及ぶという。これを,2015年に向けて徐々にバイオ・プラスチックに切り替えていく考えだ。バイオ・プラスチックに置き換える最初のターゲットは「内装パーツ」(松田氏)になるという。

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