富士通マイクロら3社,マスクレス露光向けLSI設計環境を共同開発
富士通マイクロエレクトロニクス,イー・シャトル,米D2S, Inc.の3社は2008年10月9日,マスクレス露光の一種である電子ビーム(EB)直描技術に最適化したLSI設計環境「design for e-beam(DFEB)」の開発および実証を,共同で進めることを発表した(ニュース・リリース)。まずは2009年3月までに65nm世代の評価用テスト・チップを試作し,効果を実証する。その後,LSIの試作や少量量産への適用を目指す。
EB直描技術は高価なマスクを不要にできる半面,処理速度が遅いという問題がある。現状では300mmウエハーの処理速度が0.1枚/時ほどであり,「LSI試作サービスに利用するには遅すぎる」(イー・シャトル)という。今回,DFEB技術を利用することで処理速度を2009年に0.5枚/時,2010年に1枚/時と,現状の5〜10倍に改善することを目指す。「この水準ならLSIの試作や少量生産が可能」(同社)とする。
一般にEB直描では,任意の矩形形状を描画できる可変整形ビーム(variable shaped beam:VSB)と,特定の回路形状を一括で描画できる部分一括露光(character projection:CP)を組み合わせて露光する。露光処理を高速化するためには,CPの比率を増やし,ショット数を削減することが重要になる。
これまでは,通常の露光を想定した設計結果(GDS-IIデータ)から,CP用の繰り返し図形を抽出していたため,CPの比率を増やすことが難しかった。これに対して今回のDFEBでは,論理合成の段階から,CP数を増やすような設計を行う(Tech-On!関連記事)。あるテスト・ケースではショット数を従来に比べて1/5に削減できたという。
具体的には,論理合成時に使う回路ライブラリにショット数の情報を加えて,既存の評価指標(チップ面積や遅延時間,消費電力など)と一緒に考慮して,設計を最適化する。実際には,既存の評価指標を満たしながら,よりショット数の少ないセルを選ぶことになるようだ。RTL設計データには手を加えない。
また試作チップと量産チップの間で機能だけではなく,性能をそろえるために,EB露光をダウン・グレードして使う工夫をしている。例えば,EB露光で,角がわざと丸くなるようにする。
将来は,電子ビームの鏡筒を複数化したマルチ・コラムEB技術を導入することによって,さらなる高速化を図る考えだ。具体的には2012年に300mmウエハーで2枚/時,2014年に5枚/時を目指す。また,EB露光で作る層も増やしていく。現在,マスク・コストの高い配線層やビア層をEBで作っているが,将来はトランジスタのある下層もEBで作成して,全体のTATを短縮したいとする。
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