まず,全般的にICのカスタム化が進み,表面を見ただけではどこのメーカー製か判別できない例が多くなりましたね。小型化および薄型化のために,機能の集積化を進める意味で,カスタム品を多用しているようです。

 基板構成も非常に複雑になりました。前機種よりも小さな基板から,フレキシブル・ケーブルが四方に飛び出しています。構成が複雑になったこともあり,一度分解するともう復元はできないようになってしまいました。以前の機種では,なんとか復元できたのですが。


四方に飛び出すフレキシブル・ケーブル

 ちなみにメイン基板には,こうしたフレキシブル・ケーブルと接続するコネクタは消えていますね。コスト低減のためと思われます。

——薄型化を進めていますが,メモリの容量を倍にしたり,新機能を付加したりしていますね。

A氏 今回のnanoの新機能付加において,大きな特徴の一つは「加速度センサ」の組み込みではないでしょうか。我々が今回分解した端末では,伊仏合弁のST Microelectronics社製の3軸加速度センサ「LIS331DL」が組み込まれていました。いわゆるMEMS技術を用いた,超小型の加速度センサですね。この加速度センサであれば,筐体の表面を指で叩く,いわゆるタッピングも検出できるはずです。新型nanoでは,筐体を振ることで選曲をシャッフルする機能などが組み込まれていますが,これ以外にどのような用途まで想定しているのか,興味深いところです。