ソフトバンクBBや日本ヒューレット・パッカード(日本HP)などは,携帯電話をカギとした本人認証の仕組みを使って,ショッピングなどのWebサイトや,カーナビゲーション・システム向け音楽配信に応用する新しいサービスのデモを見せている。

 ソフトバンクBBは,個人の携帯電話を「カギ」にした本人認証のシステム「SyncLock」を開発,販売している。これは,パソコンでのログイン時に表示されるワンタイム・パスワードを,ID登録された携帯電話から入力するという2経路の複合認証を使ったオンライン認証システム。企業のメールボックスにアクセスする際に,携帯電話をカギ代わりに使うといった用途で利用されている。

 「CEATEC JAPAN 2008」の会場(メディアモーダルシフトという複数社による共同のブース)では,SyncLockを使った複合的なサービスのデモを見せている。例えば,日本HPは,同社のWebシングルサインオン・システム「IceWall」をSyncLockと組み合わせて,パスワードが異なる複数のWebサイト(航空券予約サイトなど)をSyncLockによる1回のパスワード入力で利用するといったサービスを見せた。

 また,カーナビ向けの音楽情報配信などを手がけるメディアクリックは,カー・オーディオを兼ねるカーナビに携帯電話をかざすことで本人認証を行い,その人の趣味趣向に合わせた音楽を自動的に再生するといったデモを行った。例えば,家族でドライブする場合に,父親と子供のそれぞれの携帯電話をかざすことで,異なる音楽を再生するといったことができる。

 メディアクリック代表取締役の大田育生氏は「実用化するにはまだ解決すべき課題は多いが,携帯電話を本人認証として使うといろいろなサービスの展開が考えられる。携帯電話をリモコンのように使って,テレビで紹介したお店の情報をブックマークし,カーナビに送って経路を表示するといった,複数のメディアやサービスをまたぐ使い道が考えられる」と語る。

 デモ・システムは,カーナビ向け地図ソフトを手がけるザナヴィ・インフォマティクスやユーザーの趣味嗜好を把握・推論する学習型推論エンジン「NEXTe」を開発・販売するエイムも共同で開発している。