ルネサス テクノロジは,中国市場向けの車載半導体事業を拡大するため,中国の自動車メーカーに向けたサポート体制を拡充したと発表した(発表資料)。中国にある既存のルネサス テクノロジの7拠点に加え,同社の中国における販売代理店である上海友菱電子有限公司が新設した中国長春市の販売・技術サポート拠点を活用して,中国第一汽車集団公司などの中国の自動車メーカーに販売や技術サポートを行う。長春市での車載向け半導体の需要拡大を受け,サポート拡充を決めた。

 第一汽車集団公司やグループ会社の啓明信息技術株式有限公司では,ルネサス テクノロジ製品の採用が増えていると同社は説明する。最近では,第一汽車集団公司の自動変速機の制御システムに,同社の32ビット・マイコン「SH7058S」が採用されたほか,開発ツールや技術サポートも提供したという。車載情報分野では,長春市政府によるITSのインフラストラクチャー構築計画に,2007年6月から参加している。この計画のITS端末には,ルネサス テクノロジのカーナビ向けSoC「SH7770」などが採用されている。また,同社は啓明信息技術株式有限公司をパートナー企業として,リアルタイムの交通情報を扱うITSインフラに関する長春市政府との共同実験を計画している。ルネサス テクノロジは,同実験で路車間/車車間通信の規格である「WAVE(wireless access in vehicle environment)」技術を提供する。

 ルネサス テクノロジは,今回のサポート体制の拡充によって,中国の車載半導体市場におけるシェアを現在の約5%から,2010年度には10%に拡大することを目指すという。

 なお,ルネサス テクノロジは2008年7月に,中国における事業拡大を目指し,中国での販売および技術サポート会社を再編している(Tech-On!の関連記事)。