図1 アクティブ型メガネをかけて視聴する
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 松下電器産業は,103型PDPテレビとBlu-ray Discプレーヤー,液晶シャッタ搭載メガネを組み合わせ,3次元のHDTV映像を楽しめる「3D フルHD プラズマ・シアターシステム」を試作した(ニュース・リリース)。同社は「CEATEC JAPAN 2008」でブース内に特設スタジオを設け,試作したシステムを展示する。これに合わせ同社は,Blu-ray Disc媒体に3次元映像を格納する技術仕様をBlu-ray Disc Associationに提案するという。実用化の時期は未定。




 今回の3次元映像技術の特徴は,1920×1080画素,60フレーム/秒の,いわゆるフルHD相当の映像を表示できること。「ハリウッドでは今,3次元映画の制作が盛んになっている。この映像を劣化させずに,フルHDのまま家庭で楽しめるようにしたい」(同社 パナソニックAVCネットワークス社 技術統括センター 高画質高音質開発センター 所長の宮井宏氏)。

 3次元映像の表示方式は,XPAND社製のアクティブ方式のメガネを用いたフィールド・シーケンシャル方式である。具体的には,左目用,右目用の映像を1フレームごとに切り替えて表示し,これと同期して液晶シャッタで右目,左目の視界を交互に閉ざす。これにより,左右の目に異なる映像を見せることができる。パッシブ・メガネを用いる方式では画素数が低下が避けられなかったが,アクティブ・メガネを使えば画素数を減らすことなく3次元映像を表示できる利点がある。ただし,通常の2次元映像と比べて輝度は1/4に低下する。

 映像データは右目用,左目用とも1920×1080画素,60フィールド/秒のインタレース映像である。この映像データを50GバイトのBlu-ray Disc媒体に格納した。映像の圧縮形式はMPEG-4 AVC/H.264方式。2チャネルの映像の格納方式,データ伝送速度など詳細は明らかにしていない。

 3次元映像を再生する際には,Blu-ray Discプレーヤーで2チャネルの映像を同時に復号化する。「最新のBlu-ray Discプレーヤーには,2つのHDTV映像を同時に再生するPicture in Picture機能がある。今回試作したプレーヤーは,Blu-ray Discプレーヤー用のUniPhier LSIをそのまま活用した」(同社 パナソニックAVCネットワークス社 技術統括センター 高画質高音質開発センター 画質担当参事の末次圭介氏)。

 復号化した2チャネルの映像は,HDMIケーブルでPDPテレビに伝送する。「1080/60iを2チャネル分伝送するので,データ伝送速度は1080/60pの映像とほぼ同じ。1本のHDMIケーブルで問題なく伝送できる」(末次氏)。今回試作したPDPテレビは,2チャネルのI-P変換回路,および120フレーム/秒の映像を表示する駆動回路を新たに搭載した。これにより,60フィールド/秒のインタレース映像を60フレーム/秒のプログレッシブ映像に変換し,合わせて120フレーム/秒の映像を表示することが可能になった。「応答速度に優れたPDPテレビで強みを持つ技術といえる」(末次氏)。ただし,今回の3次元映像表示技術は,原理的には高速応答性を持つ液晶テレビにも応用可能という。

《訂正とおわび》
掲載当初,「60フレーム/秒のインタレース映像」とあったのは「60フィールド/秒のインタレース映像」の誤りです。おわびして訂正します。

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図2 XPAND社製の液晶シャッタ搭載メガネ
図2 XPAND社製の液晶シャッタ搭載メガネ
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図3 103型PDPテレビの上部には赤外線出力装置を置く。この赤外線をメガネが受信することで,映像フレームの切り替えと液晶シャッタの開閉を同期させている
図3 103型PDPテレビの上部には赤外線出力装置を置く。この赤外線をメガネが受信することで,映像フレームの切り替えと液晶シャッタの開閉を同期させている
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