オランダNXP Semiconductors社は,財務状況の改善と今後の成長に向けた基盤固めのための組織再編プログラムを発表した(発表資料)。同再編プログラムで,同社は生産拠点や研究開発の中枢拠点,サポート機能などの大幅な縮小を行う。これによって,革新的な製品で高いシェアを持つ車載(Automotive)事業や認証(Identification)事業,家庭向け(Home)事業,マルチマーケット半導体(MultiMarket)事業に集中し,EBITAで15%の成長率とプラスのキャッシュ・フローという中期目標の達成を目指す。2010年までに実行する予定で,コスト削減効果は年間約5億5000万米ドルとなる見通し。再編費用は8億米ドルに上ると見込む。この再編で影響を受ける従業員数は,世界全体で約4500人に上るという。

 生産拠点の再編では,現在の主要な生産拠点を,より高い生産能力を持つオランダNijmegenにある工場とドイツHamburgにある工場,およびシンガポールSystems on Silicon Manufacturing Co. Pte. Ltd.(SSMC)に統合する。この結果,四つの工場を売却および閉鎖する。米New YorkのFishkill工場は2009年に,Nijmegenの工場の一部である「ICN5」とHamburgの工場の一部である「ICH」は2010年までに閉鎖する。フランスのCaenにある工場は売却するが,買い手が付かない場合には2009年中に閉鎖する。これによって,従来の技術基盤における余分な生産能力を削減し,より高度な製造プロセスに移行させ,既存工場の稼働率を90%以上に向上させることを目指す。2010年度末までに,稼働率ベースで3億米ドルのコスト削減が見込めるという。

 研究開発とサポート業務では,よりバランスが取れたコスト・ベースを確立するとともに,中枢拠点の規模を縮小して,研究開発の焦点を絞る。この取り組みでまず対象になるのは,オランダ,フランス,ドイツの従業員。再編後は,同社の売上高の16~17%を研究開発に投資する計画。

 また,雇用については再編に影響を受ける従業員の異動などに最大限の努力を払うとするが,余剰人員の解雇は避けられないとしている。