「レリーフグラム」のイメージ
「レリーフグラム」のイメージ
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 大日本印刷は,電子線(electron beam:EB)描画方式で作製し,高精度,高精細で,立体画像が浮かび上がったように見える高セキュリティのホログラム「レリーフグラム」を開発したと発表した(発表資料)。2008年9月から販売を開始する。同社独自の技術「スクラッチ3D」をホログラム向けに応用した。スクラッチ3Dは,平面上に微細な凹凸を形成することで,光の散乱を制御し,3次元CGのデータを立体像として浮かび上がらせる技術である。

 レリーフグラムは,表現する物体の照明の照射方向を変えたときの見え方の変化である「照明変化」を記録したもの。一般のホログラムは,見る角度を変えたときの見え方の変化である「視点変化」を記録するため,その点が異なる。同社によれば,照明変化を記録する方が,視覚変化を記録するよりも視覚から得られる情報が多いため,3次元の形状を正確に表現できるという。このため,レリーフグラムは目視での真贋判定が容易で,高輝度,高精細な立体感を表現できるとする。

 さらに,レリーフグラムは,透明フィルムを使用しても,高い輝度や視認性を持つ。このため,社員証やパスポート,入退場カードなど,透明フィルムを使用することが多い用途にも適するという。

 同社はこれまで,EB描画方式によって画像を記録するホログラム「カレイドグラム」をセキュリティ用途で展開してきた。同製品は,高輝度で高精細な画像を表現できるものの,平面的な表現しかできなかった。

 レリーフグラムの価格は,12mm×15mmの大きさを10万枚注文した場合に1枚当たり約5円,50万枚注文した場合に1枚当たり約2円。30mm×40mmの大きさを10万枚注文した場合に1枚当たり約7円,50万枚注文した場合に1枚当たり約4円である。同社は,今後3年間で3億円の売上高を目指す。

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