米NVIDIA Corp.とペガシスは,ペガシスのビデオ・エンコード(動画符号化)ソフトウエア「TMPGEnc 4.0 XPress」の演算にNVIDIA社のグラフィックス・プロセサ(GPU)を利用する機能を試験的に実装し,処理を最大446%高速化できたと発表した(NVIDIA社の発表資料ペガシスの発表資料)。ペガシスは,NVIDIA社のGPUで実行するプログラムをC言語で開発するための開発環境「CUDA」を利用して,TMPGEnc 4.0 XPressのテスト・バージョンを作成。2008年8月25~27日に米カリフォルニア州サンノゼでNVIDIA社が主催しているビジュアル・コンピューティングに関するカンファレンス「NVISION 2008」で,速度テストの結果を示した。

 今回のテスト・バージョンでは,TMPGEnc 4.0 XPressのフィルタリング処理の部分にGPUを利用できるオプションを組み込んだ。速度テストには米Intel Corp.の「Core2 Quad Q9450」プロセサ(動作周波数2.66GHz)と2Gバイトのメモリ,NVIDIA社のグラフィックス・カード「GeForce GTX260」を搭載したパソコンと,OSとして米Microsoft Corp.の「Windows XP SP2」を利用した。雑音除去や輪郭強調,鮮鋭化,色調補正などの処理を含む5種類のベンチマーク・テストを行った。この結果,最も演算量の多いテストでは,パソコン本体のメイン・プロセサのみを使った場合に比べ,446%の処理速度を実現できたとする。

 今回はテスト・バージョンのため,ビデオ・エンコーダー部分にはGPUによる演算を利用する機能を組み込んでいない。ペガシスは発表資料の中で「エンコーダーへの実装ももちろん考慮に入れており,今後共同で開発に取り組む予定である」(ペガシスCEOの海老根崇氏)としている。今後,GPUによる演算処理機能を組み込んだTMPGEnc 4.0 XPressの製品版の開発を進め,随時提供していくとする。具体的な提供時期は未定。