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 OKIデータの画像・メディア研究所と新潟大学 工学部 化学システム工学科 複合微粒子研究室は,バイオマス由来の生分解性複合微粒子を使用したトナーの共同開発を開始することで合意した(発表資料)。

 現在,プリンターやコピー機などの現像剤として使われているトナーは,石油などのプラスチックが主成分であるため,資源が有限であるほか,廃棄焼却時にCO2などの温室効果ガスを発生させるといった問題を有する。また,印刷した用紙を再生紙として利用する際にも,定着したトナーを取り除く脱墨工程のエネルギー消費に加え,漂白剤による環境への影響が大きな課題になっているという。

 今回,共同開発するトナーは,主な材料に再生可能なバイオマス由来の生分解性プラスチックの複合微粒子を用いる。このため,化石燃料から作った材料を使用せずにすむほか,CO2排出量の削減に役立つという。さらに,生分解性プラスチックは微生物に分解させることが可能なため,再生紙を製造する際の脱墨工程のエネルギー消費量削減にも貢献できるとする。

 この共同研究では,新潟大学がトナーの生成を担当し,OKIデータが同トナーの物理特性評価と印刷画像評価を行う。2009年までに試作品を共同開発し,2010年までに製品化することを目指す。OKIデータの試算によれば,仮に世界中のコピーやプリンターといった電子写真方式印刷システムに同トナーが採用された場合,トナーの焼却によるCO2排出量は,1年当たり約55万トン削減されることになるという。この値は,森林のCO2削減効果に換算すると,約2212km2の植林に相当する。

 新潟大学 工学部 化学システム工学科 複合微粒子研究室 教授の田中眞人氏は,1989年に現在の重合法トナーの生成メカニズムを確立した人物である。