米Gartner, Inc.は,車載向けMCU(microcontroller unit)の世界売上高が2012年に63億米ドルに達し,そのうちの半分が環境に配慮した製品になるとの予測を発表した(発表資料)。車載向けMCUの2008年の世界売上高は53億米ドルになる見通し。Gartner社によれば,燃料価格の高騰や環境問題を背景に,ハイブリッド車など燃費の良い自動車の販売数が増加しており,それがMCU市場を牽引するという。

 MCUの採用は,パワー・ステアリングやネットワーク接続といった機能を実現し,これが車両重量の低減や燃費の向上につながる。このため,MCUは自動車の電子化に有益な役割を果たしているとGartner社は説明する。現在,車載向けエレクトロニクス機器の機能は複雑化の一途をたどっており,組み込み用メモリを内蔵する高性能な32ビットMCUの需要が拡大しているとする。また,自動車メーカーが,ガソリンなどで動く自動車に燃費を向上させたり,CO2排出量を削減する技術を搭載しようとしていることもMCUの需要の伸ばす要因とする。

 CO2排出量の規制強化や燃料価格の高騰の中で,自動車産業は燃費の向上とCO2排出量削減の方向に動いている。Gartner社は,今後10年の間に世界の自動車はすべて燃費を向上させる技術を採用するとみる。同社は,2015年に代替燃料を使用したり,CO2を排出しない技術を搭載した自動車が商品化されると予測するものの,これを実現する上で,電子制御ユニットやMCUへの期待が大きいとする。