米iSuppli Corp.は,2008年第2四半期のDRAMの世界市場調査の結果を発表した(発表資料)。市場全体のメガバイト換算による出荷量の伸びは対直前期比17%増で,同社の予想成長率10%を上回った。一方,売上高は対前年同期比8%減の67億7900万米ドル。出荷量の伸びが依然として鈍化せず,OEMメーカーが第2四半期に在庫を蓄積させたことによって,第3四半期は供給過剰が不回避になる可能性がある,と同社は予測する。

 メーカー別の売上高を見ると,前年同期より大きく伸びたのはエルピーダメモリ。対前年同期比16%増の10億4500万米ドルを売り上げ,前年同期の4位から3位に浮上した。シェアは15.4%で,2位の韓国Hynix Semiconductor Inc.に約4ポイント差まで迫った。ただし,iSuppli社によれば,エルピーダメモリとHynix Semiconductor社のシェア争いのため,市場全体の回復が遅れる懸念があるという。エルピーダメモリはシェア2位を目指して生産量を増加させており,Hynix Semiconductor社はNANDフラッシュ・メモリの出荷量の伸びを鈍化させながら,市場シェアを維持するためにDRAMの生産量を増加させている。

2008年第2四半期のメーカー別の売上高シェア
2008年第2四半期のメーカー別の売上高シェア (画像のクリックで拡大)

 エルピーダメモリと提携関係にある台湾Powerchip Semiconductor Corp.も伸びた。売上高は対前年同期比10%増の3億5000万米ドルで,6位につけた。シェアは5.2%。上位10社の中で対前年比で売上高を伸ばしたのは,エルピーダメモリとPowerchip Semiconductor社のみである。

 一方,大きく落ち込んだのはドイツQimonda AG。売上高は対前年同期比40%減の6億米ドルで,シェアは8.9%。同社は2年前に16%のシェアを占めていたものの,当時と比べると約7ポイント縮小した。

 首位は引き続き韓国Samsung Electronics Co., Ltd.で,売上高は対前年同期比1%減の20億5400万米ドルだった。シェアは30.3%で,直前期と同水準だった。

第3四半期のDRAM価格は現在から10%以上の下落

 iSuppli社は,今後すべてのDRAMメーカーが厳しい市況に直面する可能性があると予測する。DRAMの世界市場は第2四半期に軽く回復したものの,第3四半期は積みあがった在庫のために価格が下落する見通しという。同社は2008年4月に,DRAM市況の短期見通しを「悪化(negative)」から「中立(neutral)」に変更した。その後,市場は底を打ち,第2四半期にDRAMメーカーの収益性は回復した。トップ・メーカー数社は2008年6月に損益を黒字転換し,その他の上位メーカーも第3四半期にはそれに続くと期待されていた。しかし,市況は再び悪化の兆候を示しており,DRAMの大口価格は,8月と9月に下落しそうだという。同社は第3四半期の価格の下落幅を,現在と比べて10%以上の下落と見込んでいる。


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