三菱総合研究所はブランド・イメージに関する消費者の意識調査の結果を発表した(発表資料)。その結果,企業や製品のブランド・イメージを最も損なうのは製品事故であることが明らかになった。2008年5月22~24日にインターネット調査を実施し,1036人から回答を得た。

 この調査は,製品の安全性が企業のブランド・イメージにどのような影響を及ぼすのかに関して,同社が独自調査したもの。企業・製品のブランド・イメージを損なう可能性のある要素について,どの程度影響すると思うかをそれぞれたずねたところ,「影響する」との回答が最も多かった要素は「製品事故」。74.7%の人が「影響する」と答え,「ある程度影響する」と答えた人を含めると97.4%となった。次いで「影響する」と答えた人が多かったのは「個人情報の流出」の45.8%。以下,「サービス窓口の対応」の45.7%,「リコール情報」の45.6%,「社員の不正・逮捕」の37.3%と続く。このことから同研究所は,製品事故の影響は他の要素と比べると非常に大きいと主張する。加えて,「リコールの実施よりも製品事故の方が,企業・製品のブランド・イメージに対する悪影響が大きい。製品事故が発生する前に,製品の不備などがわかった段階でリコールを実施することが,ブランド・イメージを守ることにつながる」と分析した。

企業・製品のイメージを損なう可能性のある要素
企業・製品のイメージを損なう可能性のある要素 (画像のクリックで拡大)

 企業のブランド・イメージを構成する要素に関して,それらの要素がどの程度影響するかをたずねたところ,「影響する」との回答が最も多かったのは「製品の機能や性能が高いこと」だった。63.1%の人が「影響する」と答えた。2番目に多かったのは「製品の安全性が高いこと」で,61.8%だった。3番目に多かったのは「技術力がある」の52.1%。それ以外の要素では,「影響する」との回答が2割程度以下にとどまっている。同研究所は,「製品を市場に供給する企業では,安全な製品を供給するという本来の業務が,企業や製品の信頼性を高め,よいブランド・イメージにつながる」と説明する。逆に,イメージの向上を目的とした地域活動や環境保護活動などへの参画は,あまり消費者に影響を与えておらず,企業と消費者の間には差が見られるとした。

企業のブランド・イメージを構成する要素
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 さらに,電気製品を購入する際に,製品の安全性についてどの程度重視するかをたずねたところ,「重視する」と答えた人は46.4%だった。しかし,家電製品などの安全性の認証を表す『Sマーク』について知っているかとたずねたところ,「意味は知らないし見たこともない」という回答が73.4%を占めた。また『PSEマーク』関しても,「意味を知っている」と答えた人は16.6%で,「意味は知らないし見たこともない」とした人が40.8%を占めた。同研究所は,安全性の認証マークについては消費者の認知を高めることが必要としている。

製品の購入時の安全性に対する考慮
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