ケンウッドは,2008年度第1四半期(2008年4~6月)の決算は減収減益となった(発表資料)。売上高は対前年同期比7.4%減の394億8000万円,営業利益は同19.7%減の9億5300万円だった。純損益は前年同期の黒字から赤字に転落し,5億1900万円の赤字を計上している。

 減収減益の主な要因は円高の影響という。ただし,円高の影響は期初に想定していた範囲内だったため,売上高,損益ともに期初の計画に沿った水準とする。営業利益においては,円高が約11億円の減少要因となったが,この減少分をカーエレクトロニクスの市販分野の好調やOEM分野におけるコスト構造改革,ホームエレクトロニクス事業の高付加価値型事業構造への転換などで,一部吸収した。純利益が大幅に減少したのは,新しい会計基準の導入に伴う棚卸資産の評価方法の変更で,7億4000万円の特別損失を計上したためという。

 事業別に見ると,カーナビや車載用オーディオ機器などを手掛けるカーエレクトロニクス事業の売上高は,対前年同期比2.7%減の232億5600万円だった。市販分野の売上高は前年同期と同水準だった。これは,米Garmin Ltd.との協業による一体型カーナビの販売が海外市場で好調に推移したことに加え,2008年のオーディオの新製品群の販売が順調だったことが,円高の影響を吸収したことによるという。しかし,自動車販売の低迷などによってOEM分野の事業構造改革を進めたため,同事業全体の売上高は前年同期を下回った。営業損益は前年同期の赤字から黒字に転換し,1億3600万円の利益を計上した。市販分野の収益が伸びたほか,OEM分野の損益もコスト構造改革によって改善した。

 通信機器などを手掛けるコミュニケーションズ事業は,売上高が対前年同期比15.9%減の137億8900万円,営業利益が同44.8%減の10億3800万円だった。円高の影響に加え,携帯電話機の販売が新製品発売直前の買い控えなどで伸び悩んだため,大幅な減収となった。営業利益も,携帯電話機の売上高減少や無線機器分野の戦略投資の影響を受けて半減した。

 AV機器などの家電を手掛けるホームエレクトロニクス事業の売上高は,対前年同期比5.7%増の18億5100万円。営業損益は2億1800万円の赤字だった。ただし,前年同期から赤字額は縮めている。高付加価値型事業構造への転換の成果が顕在化し,損益が改善したという。

 2008年度通期の業績予想は,売上高が対前年度比5.9%増の1750億円,営業利益が同3.8%増の65億円,純利益が同37.1%減の20億円となる見通し。