デジタル機器の分解・解析を手がける米Portelligent社は,2003年~2007年における携帯電話機のメモリの容量と部品コストの分析結果を明らかにした。米カリフォルニア州サンタクララで米Denali Software社が主催したメモリ関連イベント「MemCon 2008」で発表したもの。



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 音声通話に特化した超低価格機では,ここ数年はメモリ容量に変化はなく,NOR型フラッシュ・メモリ+SRAM/疑似SRAMというメモリ構成も変わらないという。その間,メモリの部品コストは下がり続け,現在では1~2米ドルまで低下した。写真の携帯電話機「Sagem Vodafone 226」ははGSM端末で,SRAM容量が1Mバイト,NOR型フラッシュ・メモリの容量は4Mバイト,メモリの部品コストは1.54米ドル,全体の部品コストは29米ドルと見込む。(図中右側の部品コストや容量は,Portelligent社が調査した複数の携帯電話機について単純に平均を取ったもので,販売台数シェアによる重み付けなどは行っていない)



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 低価格機になると,メモリ容量は増加しているが,メモリの部品コストはやはり減少し,2~3米ドルに落ち着いている。写真の端末はGSM/EDGE対応機「Nokia 2630」で,疑似SRAM容量が4Mバイト,NOR型フラッシュ・メモリの容量は32Mバイト,メモリの部品コストは2.28米ドル,全体の部品コストは44米ドルと見込む。



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 中級機~高級機では,この傾向はさらに顕著になる。コンテンツ配信やカメラの搭載に伴うストレージの需要でメモリ容量が急上昇しているにも関わらず,メモリの価格はやはり低下している。典型的なメモリ構成は,NOR型フラッシュ・メモリ上の命令コードを直接実行する「XiP(execute in plane)」から,NAND型フラッシュ・メモリに格納した命令コードをMobile SDRAMに転送して実行する「SnD(store and download)」に移行しつつある。メモリ容量の向上が,コストの指標となるセル当たりの面積の削減に追いついていないことが分かる。写真の中級機はGSM/W-CDMA端末「LG KU250」で,Mobile SDRAMが64Mバイト,NAND型フラッシュ・メモリが64Mバイト,メモリの部品コストは4.19米ドル,全体の部品コストは69米ドルと見込む。



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 写真の高級機は,GSM/HSDPA端末「Sony Ericsson K850i」で,Mobile SDRAMが32Mバイト,NOR型フラッシュ・メモリが128Mバイト,メモリ部品コストは6.00米ドル,全体の部品コストは123米ドルと見込む。



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 1台当たりのメモリの価格が低下傾向にあるとの分析が続く中で「Good Newsかも・・・」(Portelligent社 Principal AnalystのJeff Brown氏) として紹介したのが,超高級機,いわゆるスマートフォンの分析である。2006年までは下位機種と同じ傾向が続いたが,2007年は「iPhone効果」で容量が急増,部品コストも回復した。iPhoneを統計から除いても,メモリの部品コストはわずかに増加傾向にあるという。写真の超高級機はGSM/HSDPA端末「HTC TyTN II」で,Mobile SDRAMを含む揮発性メモリが160Mバイト,NAND型フラッシュ・メモリが256Mバイト,メモリ部品コストは10.98米ドル,全体の部品コストは179米ドルと見込む。