図1 NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏
図1 NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏
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図2 これまで実現してきた「コミュニケーション」「情報アクセス」「生活支援」に,新たに「行動支援」の機能を加える方針を示した
図2 これまで実現してきた「コミュニケーション」「情報アクセス」「生活支援」に,新たに「行動支援」の機能を加える方針を示した
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図3 生活支援や行動支援の機能は,携帯電話サービスの特性を生かして「インターネットのケータイ化」を促すという
図3 生活支援や行動支援の機能は,携帯電話サービスの特性を生かして「インターネットのケータイ化」を促すという
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図4 LTEの導入により,データ伝送速度の高速化だけでなく,接続時間や伝送遅延の短縮によって端末とサーバーの協調が進む可能性があるとした
図4 LTEの導入により,データ伝送速度の高速化だけでなく,接続時間や伝送遅延の短縮によって端末とサーバーの協調が進む可能性があるとした
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図5 サーバー上の機能を,あたかも端末上に存在するように利用可能になれば,携帯電話機がシンクライアント化することも想定している
図5 サーバー上の機能を,あたかも端末上に存在するように利用可能になれば,携帯電話機がシンクライアント化することも想定している
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 「ケータイは24時間365日持っていてもらえるし,個人認証の機能も,位置情報を検出するGPS機能もある。こうした特徴を生かして,インターネットをさらに進化させられるだろう」---。NTTドコモ 代表取締役社長の山田隆持氏は,2008年7月22日から開催中の「ワイヤレスジャパン 2008」で講演し,携帯電話サービスの進化の方向性について語った(図1)。

 「法人向けや2台目などの市場は残っているが,台数で大きく伸びる時代ではなくなってきた」とする山田氏は,「『○○ができるケータイ』から,ユーザー個人に『○○してくれるケータイ』」に変わることで新たな価値の創造ができるとした。これまで携帯電話サービスで実装してきたのは,電話やメールなどの「コミュニケーション」,インターネット接続やワンセグ受信などの「情報アクセス」,おサイフケータイや居場所検索などの「生活支援」であるとし(図2),今後はエージェント機能などの「行動支援」を強化することによって「インターネットのケータイ化」が実現できるという考えを示した(図3)。

 従来のインターネットは,ストック型かつ継続・網羅的な情報をプル型で取得するものであるが,個人の特定や位置情報の取得といった携帯電話サービスの特徴を生かせば,フロー型で単発・地域的な情報を提供できるとする。「例えば『銀座の百貨店で物産展を20:00まで開催している』という情報を,銀座にいる,物産展に興味を持っている人にプッシュ型で配信できる。ただし,迷惑メールのような存在になってはいけない。『便利・快適』と思ってもらえる環境作りが大事だろう」(山田氏)。自分に合った情報を,適切なタイミングや方法で,自動的に提供してくれる「エージェント・サービス」が今後の進化の方向性であるとした。

LTEによる「遅延時間の短縮」が端末を変える

 山田氏は講演で,同社が推進する次世代移動体通信システム「Super3G」(LTE)の導入効果についても語った。「Super3Gの導入により,高速化,接続時間・伝送遅延の短縮,高速同報伝送の実現という効果が得られる」(山田氏)とし,接続時間と伝送遅延の短縮が端末の役割を変える可能性を示唆した。

 これまで「端末のメニューにあるような機能は,端末自身に内蔵した機能で実現してきた。接続時間や伝送遅延が短縮すれば,サーバー側で実現した機能を,あたかも端末に実装されているように感じさせられる。サーバー側の機能をメニューに載せるようになれば,端末の開発にそれほど費用をかけなくても高度なサービスが実現できることになる」とし,端末とサーバーの協調が進むという見通しを示した(図4)。例えば携帯電話機の「シンクライアント」化(図5)や,顧客企業の電話帳をサーバー側で管理するサービスなどの可能性があるとした。