カネカ 常務執行役員 ソーラーエネルギー事業部長 八田幹雄氏
カネカ 常務執行役員 ソーラーエネルギー事業部長 八田幹雄氏
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太陽電池業界をリードしてきた日本の太陽電池メーカーの存在感が急速に低下している。2007年の生産量では,シャープが首位から陥落,他の日本メーカーもことごとく順位を落とした。今後も,LSIメーカーや製造ラインの一括供給を受けた新規メーカーなどが量産に乗り出す。日本メーカーは,海外メーカーにどのように挑むのか。各社に聞いた。(聞き手=河合 基伸)

――カネカの主力商品である薄膜Si型太陽電池の市場に,“ターンキー・ソリューション”と呼ばれる製造ラインの一括供給を受けた企業が続々と参入しています。

 ターンキー陣営を競争相手とは思っていません。2008 年はいいかもしれませんが,今後電力買い取り制度「フィードイン・タリフ」の価格見直しが進む中で,変換効率が数%と低いターンキー陣営の製品では厳しい状況になるでしょう。

――生産能力を数百MW規模に拡張しないのはなぜですか。

 生産能力は,現在の30MWから2008 年9 月には70MWとし,さらに2010 年に130MWに拡張する予定です。 数百MW規模に拡大しないのは,現在の薄膜Si 型太陽電池の変換効率がまだ低いためです。薄膜Si 型太陽電池の市場は,地上設置や工場の屋根といった大規模施設への設置が中心となっています。面積が限られる家庭の屋根の上など,効率が高い結晶Si 型太陽電池が得意とする市場には十分に入り込めていません。このため,現時点で薄膜Si 型太陽電池を大幅に増産しても,十分な市場がないのです。

――製造装置を自ら開発・製造する戦略に変化はありませんか。

 製造装置の外注は,タンデム構造向けの量産装置からやめました。調達した製造装置で,収率の高い生産ができなかったからです。このため,製造装置の製造までを自ら手掛けるようになりました。

詳細は,日経マイクロデバイス2008年8月号のCover Story「太陽電池,日本の勝算」に掲載しています。