シャープ 執行役員 ソーラーシステム事業本部長 村松哲郎氏
シャープ 執行役員 ソーラーシステム事業本部長 村松哲郎氏
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太陽電池業界をリードしてきた日本の太陽電池メーカーの存在感が急速に低下している。2007年の生産量では,シャープが首位から陥落,他の日本メーカーもことごとく順位を落とした。今後も,LSIメーカーや製造ラインの一括供給を受けた新規メーカーなどが量産に乗り出す。日本メーカーは,海外メーカーにどのように挑むのか。各社に聞いた。(聞き手=河合 基伸)

――生産量ランキングで長らく1位を続けてきましたが,2007年は独Q-Cells AGに抜かれました。

 順位を落としたのは,Si 原料の調達の影響を受けた結果です。われわれは100 年先を見据えながら,現時点でどんな布石を打つべきかを考えています。今回の結果は,長い歴史の一コマであり,大きな問題ではありません

――次々と打ち出す手を見ると,バリュー・チェーンの川上から川下までを押さえる戦略に見えます。それは意識して実行しているのでしょうか。

 もちろんです。太陽電池事業を鳥瞰的に眺めて,ビジネス・モデルを作っています。通常エレクトロニクス・メーカーは,バリュー・チェーンの収益構造を表現する“スマイル・カーブ”の底辺部分である製造のみにかかわっています。エレクトロニクス事業の中で太陽電池事業は,メーカーがバリュー・チェーンの川上から川下までを取り込める恵まれた分野なのです。

――生産量ランキングで,1位に返り咲くのは,いつごろになりそうですか。

 太陽電池の普及のためには,まず2010 年に発電コストを23円/kW時に近付けることが必要になります。そのときの生産能力は,結晶系と薄膜系でそれぞれ1GWずつになるでしょう。そのころに1位が見えてくるでしょう。

詳細は,日経マイクロデバイス2008年8月号のCover Story「太陽電池,日本の勝算」に掲載しています。

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