ヤマハが参考出展した「ミューロセンサー」。手前のモジュールは小型化を図った試作品。「一応動作する」(同社)という。
ヤマハが参考出展した「ミューロセンサー」。手前のモジュールは小型化を図った試作品。「一応動作する」(同社)という。
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ミューロセンサーが採用した,Nordic Semiconductor社の無線通信ICとUSBアダプタ型モジュール。
ミューロセンサーが採用した,Nordic Semiconductor社の無線通信ICとUSBアダプタ型モジュール。
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 ヤマハはワイヤレスジャパンで,加速度の向きや強さに応じて音楽を演奏できるスティック「ミューロセンサー」を参考出展した。今後,ヤマハの「音楽教室」の新プロジェクト「音楽と健康」で利用していく考えという。

 ミューロセンサーは,約15cmほどの長さの筐体内に3軸の加速度センサと,ノルウェーのNordic Semiconductor ASAが開発した2.4GHz帯の独自仕様の無線モジュールなどを搭載したもの。一見,任天堂の「Wiiスティック」に似ている。ミューロセンサーを手に持って振ると,その加速度の値が無線を通じて無線の親機,そしてパソコンへと伝わる。パソコンにMIDIを介して電子ピアノなどの音源を接続しておくと,加速度の値に応じてあらかじめ設定した音を鳴らすことが出来る。

 今回,Nordic社の独自無線仕様を利用したのは「1台の親機に24台までのミューロセンサーを同時に接続でき,しかも遅延が3ms以下と小さいため」(ヤマハ イノベーティブテクノロジー開発部 サウンドテクノロジー開発センター専属の松井克己氏)。BluetoothやZigBee規格の無線も試したが,Bluetoothは1piconet(Bluetoothの親機「マスター」が構成する無線ネットワーク)内に7台の端末(スレーブ)しか同時に接続できず,ZigBeeは遅延が大きかったという。「人間はリズムのズレに敏感で5msもずれると違和感を感じるようになる」(松井氏)。

 ミューロセンサーは1台ごとにIDを備え,それぞれで違う音を鳴らすことができるため,「両手にそれぞれこのミューロセンサーを持っておき,右手を振ると『ワン』,左手を振ると『ニャン』と鳴かせるようにすることもできる」(松井氏)という。最大24台同時に使えるため,1人2本で12人まで同時に利用できる。

 Nordic社の無線通信ICは「nRF24LU1」という製品。1チップ上に無線トランシーバだけでなく,USB2.0インタフェースの制御回路も集積した。寸法は5mm角,データ伝送速度は無線の物理層で最大2Mビット/秒,USBインタフェースで最大12Mビット/秒であるという。

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