なぜ,こんなややこしい話になったんですか?

 ダビング10とiPod課金という,全く別の話が絡み合ってしまった背景には,権利者側とメーカー側の長年にわたる根深い対立があります。iPod課金を巡って,両者は数年前から反目してきました。今回の一連の騒動は,何としてもiPod課金を成立させたい権利者側が,ダビング10の実施を盾に受け入れを迫ったのに対し,メーカー側はダビング10を先送りしてまで,受け入れを拒否したと見ることができます。

 双方には,それぞれ譲れない理由があります。権利者側には,録音用CDやMDの代わりにiPodなどが主流になるにつれて,補償金がどんどん減っているという苦しい台所事情があります。一方のメーカー側は,iPod課金を皮切りに,パソコンなどまでが補償金の対象になるのではないかと恐れています(図3)。

図3 権利者側は,減り続ける私的録音録画補償金を立て直すために,iPodやHDD内蔵レコーダーなどまで対象に含めることを望んでいる。メーカー側は,iPodやHDD内蔵レコーダーを対象にされると,技術的に大差のないパソコンや携帯電話機などまで,なし崩し的に対象になることを恐れている。
図3 権利者側は,減り続ける私的録音録画補償金を立て直すために,iPodやHDD内蔵レコーダーなどまで対象に含めることを望んでいる。メーカー側は,iPodやHDD内蔵レコーダーを対象にされると,技術的に大差のないパソコンや携帯電話機などまで,なし崩し的に対象になることを恐れている。 (画像のクリックで拡大)