iPodは動画の再生はできますが,基本的には音楽プレーヤーです。なぜ,テレビ番組を録画するときのルールであるダビング10と関係するのでしょうか?

 ダビング10延期の直接の原因は,権利者側がダビング10を実施する必要条件として,「ダビング10対応機器への私的録画補償金制度の適用」を求めたことにあります。ダビング10対応機器とは,地デジ対応の録画機のことで,iPodではありません。

 話がややこしくなるのはここからです。ダビング10の議論と私的録音録画補償金をどうするかという議論は,全く別のところでなされてきました。具体的には,ダビング10は総務省関連の委員会,補償金は文化庁関連の委員会です。権利者は,総務省側の委員会で,ダビング10対応機器への補償金適用を求めました。この結果,文化庁側の議論で適用に合意しない限り,ダビング10への移行ができなくなってしまいました。この文化庁側の議論では,録画機とiPodをひとまとめに扱っていました。つまり,ダビング10対応機器への課金を認めるということは,iPodまで含めることを意味したのです(図2)。

図2 コンテンツの権利者側は,「ダビング10」を受け入れる代わりに,ダビング10対応機器を私的録画補償金制度の対象にすることを求めた。補償金制度に関する議論は,ダビング10の議論とは別に進んでおり,そちらで合意しないとダビング10が実施できなくなった。補償金の議論では,録画機器だけでなくiPodなどの音楽プレーヤーに対する課金も同時に議論しており,そこまで含めて合意することが,ダビング10実施の必要条件になってしまった。
図2 コンテンツの権利者側は,「ダビング10」を受け入れる代わりに,ダビング10対応機器を私的録画補償金制度の対象にすることを求めた。補償金制度に関する議論は,ダビング10の議論とは別に進んでおり,そちらで合意しないとダビング10が実施できなくなった。補償金の議論では,録画機器だけでなくiPodなどの音楽プレーヤーに対する課金も同時に議論しており,そこまで含めて合意することが,ダビング10実施の必要条件になってしまった。 (画像のクリックで拡大)