松下電器産業が,2011年度に37型の有機ELテレビを量産する方向で最終調整に入ったと,2008年6月24日に一部報道機関が報じた。

 この報道に関する本誌の取材に対して,松下電器産業は24日の14時時点で「IPSアルファの姫路工場における有機ELの将来展開を視野に入れ,研究開発を進めておりますが,現時点で,具体的な事業化については何も決まっておりません」(同社 広報部)とコメントしている。

 一部報道によれば,松下電器の出資会社であるIPSアルファテクノロジの茂原工場と,姫路工場(2010年1月に稼働予定)に新設する有機EL専用ラインで有機ELパネルを量産,国内外の工場でテレビに組み立てるとしている。37型の有機ELパネルは,茂原工場では第6世代のガラス基板から6面取り,姫路工場では第8世代のガラス基板から10面取りすると報じている。

 松下電器は,近い将来,有機ELテレビの時代が来ると踏んでいる。2008年1月に開催した経営方針説明会では,同社 代表取締役社長の大坪文雄氏が「2015年ころから,大型の有機ELテレビが既存のテレビを置き換え始めるだろう」とコメントしている。先日,同社がIPSアルファテクノロジを子会社化したのは,単に液晶テレビの垂直統合を図るだけでなく,有機ELテレビの時代においても,テレビの垂直統合という形態を維持し続けることを念頭に置いてのことである(Tech-On!関連記事)。「家電メーカーの顔はテレビ」と常日頃から標榜する松下電器が,大坪社長が示唆する「2015年」という時間設定の前倒しに奔走しているのは想像に難くない。

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