桑田良輔氏(写真:栗原 克己)
桑田良輔氏(写真:栗原 克己)
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 「電子ペーパーを利用した電子新聞は,2008年末ごろまでに実証実験開始,2009年後半くらいに具体的なビジネスに移行する」――。

 米E Ink Corp.で市場開発の指揮を執る同社 Vice president Asia Pacific regionの桑田良輔氏は,新聞社が手掛ける電子新聞のプロジェクトが,世界各地で進んでいることを明らかにした。

 以下は,桑田氏に対する日経エレクトロニクスのインタビューから。
(聞き手=小谷 卓也)


――電子ブックに続く電子ペーパーの新たな用途として,現在E Ink社が注力している分野は何でしょうか。

 特にフォーカスしている分野といえば,新聞でしょう。つまり,電子ペーパーを利用した電子新聞です。ここ1年ほど,各新聞社の動きがかなり激しくなってきています。実際,我々はほとんどの日本の大手新聞社と既にコンタクトを取らせてもらっている状況です。この電子新聞という用途は,これからしばらくの間,我々としてもサポートを強化するなどして注力していくことになるでしょう。

 もちろん,動いているのは日本の新聞社だけではありません。もともと,電子新聞に向けた取り組みは,ご存じのように米国の新聞社の方が早かったですから。例えば,米Hearst Corp.などが具体的な検討を進めています。あまり知られていませんが,Hearst社は我々にかなりの出資をしています。Hearst社としても,電子新聞事業にフォーカスしているのだと思います。米国のこうした動きが,最近になって日本や欧州の新聞社にも飛び火したといったほうが正しいでしょう。例えば欧州では,フランスLe Monde社などが少し動き始めたところです。

――電子新聞は,いつごろ市場に登場することになりそうですか。そして,それはどのような端末・サービスの姿になるのでしょうか。

 今のところ,一番早く進めている新聞社が,2008年末ごろまでに数千台規模で実証実験を始める見込みです。実証実験を経て,2009年の後半くらいには具体的なビジネスに移行していくと思います。

 端末・サービスの形態については,各新聞社がそれぞれ独自の考えに基づいて検討を進めています。例えばHearst社の場合,コンテンツ供給はもちろんですが,端末も自社で開発しようとしています。一方,欧州の新聞社などは,コンテンツのみを供給するという姿勢が強く,端末については既に存在するものを利用したり,OEM供給を受けたりする考えのようです。その辺りは,各社まちまちですね。

このインタビューの全文は,日経エレクトロニクス2008年6月16日号の「ベンチャーのゴールへ,今年が勝負の年です」に掲載しています。

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