米Freescale Semiconductorは米国時間2008年6月9日,複数のベンチャ・キャピタルと共同出資して,MRAM事業の新会社を立ち上げると発表した。名称は「EverSpin Technologies」で,スタンドアロンのMRAMのほか,磁気関連製品を手がける。

 EverSpinはアリゾナ州チャンドラーに本拠を置き,製造設備を保有する。FreescaleのMRAM技術と,関連する知的財産および製品を移管し,Freescaleの組み込み製品向けにMRAMを提供する。また,既存のFreescale顧客への製品供給も継続する。

 従来のメモリー素子が電荷を利用して情報を記憶するのに対し,MRAMは磁気を用いる。ハード・ディスク装置の読み書きヘッドにも使われるトンネル磁気抵抗(TMR:Tunnel Magneto Resistance)素子でメモリー・セルの磁化方向を変え,それに応じた電気抵抗値の変化で情報を表現する。電源を切っても情報維持が可能な不揮発性を備える。大容量で,書き換え/読み出しが高速,低消費電力という特徴を備える。そのうえ,書き換え回数に制限がない。

 新会社設立に出資するベンチャ・キャピタルは,New Venture Partners,Sigma Partners,Lux Capital,Draper Fisher Jurvetson,Epic Ventures。出資比率などについては明らかにしていない。

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