米Adobe Systems Inc.は2008年6月2日,オンライン・サービス「Acrobat.com」のベータ版を公開した。5Gバイトまでのファイル共有サービス「Share」や,オンライン・ワープロ「Buzzword」,PDF文書への変換サービス(ただし5文書まで),オンライン会議サービス「ConnectNow」から成る。これまで同社は個別にこうしたサービスのベータ版を提供してきたが,「Acrobat.com」として一つのサービスとして連携させた。

 Acrobat.comの特徴は,全面的に同社のRIA(rich internet application)技術である「Flash」を採用していること。これまで米Google Inc.や米Microsoft Corp.,米AdventNet,Inc.,米Thinkfree,Corp.などがオフィス文書作成を中心としたオンライン・サービスを提供しているが,基本的にAjax技術を利用している。Flashを採用することにより,非常に凝ったユーザー・インタフェースを実現できるほか,同社の「AIR(Adobe Integrated Runtime)」を使うことにより,Acrobat.comをローカル・アプリケーションとして実装したものも用意している。AIRはFlashで作成したコンテンツなどをほぼ変更せずに,ローカル・アプリケーションとして動作させる技術である。

 またConnectNowも他社が手がけるサービスにはあまり見られないものだ。オンライン・サービスの特性を生かし,文書の共同編集を可能にしたものは他社のサービスでもあるが,ConnectNowを使えば操作画面を共有したり,インターネット経由でリモート制御させたりできる。こうした高機能なサービスを実現できるのはFlashを採用したメリットである。

 ただしFlashを使ったためか,現時点では日本語化に関してはかなり未成熟な印象を受ける。例えばBuzzwordでは日本語文書を作成できないし,Shareでもファイル名に日本語を使うと文字化けが発生してしまう。