インドの製造力:製造装置もインド製に

 資金力をバックに急速に増産を進める新規参入企業に対して,老舗の太陽電池メーカーも積極姿勢を採る。2010年に年間生産能力300MWへと拡張予定のTata BP Solarだけでなく,1999年創業のMaharishi Solar Technologyも現在の2.5MWから将来は40MWへと増産する。

 Maharishi Solar Technologyは現在,チェンナイの工場でウエーハからセル,モジュールまでを手掛けている(図7)。これに加えて,Si材料不足を補うために,同拠点で多結晶Si材料の製造にも乗り出す。まずは2008年末までに,年間生産能力100トンの多結晶Si材料プラントを建設する。その時点で,セルやモジュールの年間生産能力を40MWに高める。さらに,将来は年間3000トンの多結晶Si材料を製造する計画である。それに合わせて,セルやモジュールの生産能力も順次拡大する。このほか,薄膜Si型太陽電池に関しても計画を策定中という。現在,AMATなどの製造装置メーカーと話を始めたところである。

老舗メーカーも増産に意欲

製造装置もインド製

 太陽電池など電子デバイスの製造を支える,製造装置メーカーも実力を蓄えてきた。インドの製造装置メーカーであるHind High Vacuum(HHV)は,1965年の創業以来,真空装置を中心に,インド初の製造装置を数多く出荷してきた。主な太陽電池向け製造装置としては,1997年の太陽電池モジュール製造向けラミネータ,2001年の薄膜Si型太陽電池向け試作装置,2005年のマグネトロン・スパッタがある注)

注)2003年には,Samtel India Ltd.に対してPDP向けのMgO成膜装置を納入している。

 そしてHHVは,2008年に新たな事業に乗り出す。それは,AMATやアルバックなどが進める,太陽電池の製造ラインを一括供給する事業である。年産7MWの薄膜Si型太陽電池製造ラインを,750万~800万米ドルで提供する。ほかの製造装置メーカーに比べて「半分以下の価格」(同社のSakhamuri氏)という。

 薄膜Si型太陽電池の製造ライン向けには,ラミネータとプラズマCVD装置,マグネトロン・スパッタを自社で製造するとともに,そのほかの洗浄装置やレーザー・スクライビング装置などをインドの他の企業からのOEMでまかなう計画である(図8)。この結果,製造ラインのすべての装置はインド製となる。

インドの装置メーカーも'ターン・キー・ソリューション'を提供へ

 HHVは薄膜Si型太陽電池分野での実績が少ない点を補うために,自社の技術をアピールしようと,薄膜Si型太陽電池の製造子会社を2007年12月に立ち上げた。HHVの本社と工場があるベンガルールに太陽電池工場を建設する。この子会社は,2008年9月に製造を始める予定である注)

注)ガラス基板寸法は1m×1mで,安定化後の変換効率は6.5%を狙う。HHVの研究施設では,現時点で30cm×30cmのガラス基板上に,安定化後の効率が6.5%のアモルファスSi太陽電池の形成に成功している。

この記事を英語で読む