同社 代表取締役社長の中島俊雄氏
同社 代表取締役社長の中島俊雄氏
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2007年度通期で営業黒字化を達成
2007年度通期で営業黒字化を達成
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マイコンが伸びたものの,SoCと個別半導体は減収
マイコンが伸びたものの,SoCと個別半導体は減収
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2008年度は円高により半導体売上高が減少
2008年度は円高により半導体売上高が減少
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 NECエレクトロニクスは2008年5月14日,2007年度(2007年4月~2008年3月)の決算を発表した(ニュース・リリース)。売上高は対前年度比45億円減の6877億円,営業利益は同337億円改善して51億円と,「1年前の約束通り,通期で営業黒字化した」(同社 代表取締役社長の中島俊雄氏)。なお,純損益は160億円の赤字だった。

 通期で営業黒字化を達成できたのは,主に固定費を対前年度比で約220億円削減できたため。設備投資額は対前年度比497億円減の561億円に絞り,生産効率の改善を図った。また,SoC開発費の回収に関してユーザーと粘り強く折衝を重ねた結果,研究開発費を同195億円減の1123億円にできた。販管費も同23億円減の847億円にした。

 半導体売上高は対前年度比65億円減の6533億円。内訳は,SoCが同3%減の2513億円,マイコンが同7%増の1801億円,個別半導体が同4%減の2219億円。SoCではデジタル家電向けやゲーム機向けは好調だったものの,デジタル・カメラ向けやプリンタ向けが減収となった。マイコンは国内や欧州の自動車向け製品が伸びた。個別半導体ではパワー半導体が伸びたが,小型向けの液晶ドライバLSIが減収となった。

 2008年度(2008年4月~2009年3月)に関しては,売上高が対前年度比27億円減の6850億円,半導体売上高が同33億円減の6500億円,営業利益が同49億円増の100億円,純利益は0円を見込む。為替レートの前提は100円/米ドルと160円/ユーロである。円高による半導体売上高の減少分は約300億円。設備投資は約600億円を見込む。

 同社は中期計画で2008年度に最終損益で黒字化,2009年度(2009年4月~2010年3月)に営業利益率5%を目指している。この目標を達成するためにSoC,マイコン,個別半導体のそれぞれで対策を進めている。

 SoCに関しては,55nmおよび40nm世代のDRAM混載SoCを中心に大きな商談が進んでいる。DRAM混載SoCはこれまでゲーム機向けが中心だったが,今後はデジタル・テレビ向けや携帯電話機向けなどに広げていく。「既に国内外の10社から採用内示をもらった」(中島氏)とする。こうした需要に対応するため,山形工場の300mmウエハー・ラインの生産能力を2007年度末の1万3000枚/月から2008年度末に2万枚/月,2009年度末に2万5000枚/月に拡張する。プロセスは90nm,55nm,40nmを想定する。32nmに関しては「まだ具体的な商品がなく,山形の延長線上でできるかどうかも分からない」(同氏)とした。

 マイコンに関しては,55nmプロセスによるマルチコア構成のチップを製品化し,カーナビ分野に新規参入する。既に複数の大型商談を獲得しているという。汎用マイコンでは150nm世代への微細化を進めるほか,特定ユーザー向けに90nm世代の車載向けフラッシュ・マイコンを投入する。

 個別半導体に関しては,関西工場の200mmウエハー・ラインを1万枚/月分増やし,パワー半導体の主力拠点にする。一方,液晶ドライバLSIに関しては150~130nm世代への微細化が進むため,外部のファウンドリに生産を委託し,後工程のCOF実装に注力する。