米ABI Research社は,GPS機能付き携帯電話機の出荷台数が2012年には5億5000万台を上回るとの見通しを発表した(発表資料)。同社によれば,携帯電話事業者は友人の検索や地域情報検索といった幅広い位置情報サービス(location based services:LBS)を,GPS機能付き携帯電話機で提供し始めているという。興味のあることや地理情報付き写真を共有するといった,コミュニティやソーシャル・ネットワーク関連の機能の人気も高まっており,今後はこれら機能へのGPS機能付き携帯電話機の対応も加速すると見る。

 CDMA端末の大部分が既にGPS機能を持ち,GSM方式のスマートフォンでもGPS機能が標準的な機能になりつつある。GSM方式の多機能電話(feature phone)では,GPS機能を搭載するかが次の課題になっている,とABI Research社はいう。また,GPSチップセット・メーカーは,携帯電話機市場に対する注力をさらに増しているとする。

 しかし,GPS機能がより下位の機種に普及し始めるためには,GPSチップのコストや消費電力,実装面積をさらに低減する必要がある。この結果,2009年にはGPS機能とBluetooth,Wi-Fiをすべて,一つのダイの上に実装したチップが現れるとABI Research社は予測する。米Broadcom Corp.やオランダNXP Semiconductors社,米Atheros Communications,Inc.などの主要な半導体メーカーは,こういったチップの開発に向けてGPSチップセット・メーカーを買収している。3社はそれぞれ,米Global Locate,Inc.,米GloNav Inc.,米u-Nav Microelectronics社の買収を発表した(Tech-On!の関連記事1同2)。

 同時に,GPS機能の屋内のカバー範囲に関する問題も解決する必要があると,ABI Research社は説明する。携帯電話機向けのLBSは,GPS信号の強度が弱まる環境で使用されることが多いためである。A-GPS(Assisted Global Positioning System)を利用したネットワークと高感度のGPS受信機は,位置情報を得たり,場所精度を向上させるための時間を減らすのに重要な要件となりつつあるという。