ソフトバンク 代表取締役 社長の孫正義氏
ソフトバンク 代表取締役 社長の孫正義氏
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 ソフトバンクは,2007年度(2007年4月~2008年3月)の連結決算を発表した。売上高は前年比9.1%増となる2兆7761億6800万円,営業利益は同19.6%増になる3242億8700万円と過去最高を記録した。2007年度の携帯電話機の純増契約数が267万6500件と,初の業界首位を達成するなど,好調な携帯電話事業が牽引した。純利益は,持分法適用関連会社である中国Alibaba Group Holding Ltd.の子会社である中国Alibaba.com Ltd.が香港証券取引所に上場した影響もあり,同277%増の1086億2400万円となった。

 主な部門別の業績を見ると,携帯電話事業(ソフトバンクモバイル)の売上高は前年比13.1%増の1兆6308億5100万円,営業利益は同12.1%増の1745億7000万円。ブロードバンド事業の売上高は,同2.3%減の2580億6900万円であったが,営業利益は同48.1%増の397億円と大幅な増益となった。固定通信事業の売上高は同0.9%減の3707億4000万円,営業利益は33億4000万円で,前年の赤字から黒字となった。インターネット・カルチャー事業(ヤフー)の売上高は同27.5%増の2476億4200万円,営業利益は同19.4%増の1152億3700万円となった。「すべてのセグメントで営業利益が改善した」(ソフトバンク 代表取締役 社長の孫正義氏)と自信を見せた。

 決算発表と併せて同社は,携帯電話と固定電話間の通話が24時間無料となる二つのサービスを発表した。個人向けにソフトバンクモバイルとソフトバンクBBが提供する「ホワイトコール24」(発表資料 )と法人向けにソフトバンクモバイルとソフトバンクテレコムが提供する「ホワイトライン24」(発表資料 )である。個人向けサービスであるホワイトコール24は,ソフトバンクモバイルの「ホワイトプラン」と,「Yahoo! BB ADSL」または「SoftBank ブロードバンド ADSL」の加入者を対象とする。2008年6月3日に申し込みの受付を開始する予定。法人向けサービスのホワイトライン24は,ソフトバンクテレコムの固定電話サービス「おとくライン」とソフトバンクモバイルの「ホワイトプラン」の加入者に向ける。サービス開始は,2008年6月3日を予定する。

モバイル・インターネットを制する者がインターネットを制す

 決算の会見でソフトバンクの孫氏は,「モバイル・インターネットを制する者がインターネットを制す」というコメントを繰り返し,今後の注力分野として取り組むことを明らかにした。

 モバイル・インターネット分野への取り組みとして,同社と中国China Mobile Communications Corp.(中国移動通信),英Vodafone Group Plcの3社は2008年4月24日に,携帯電話機を利用した技術やサービスを開発する合弁会社「Joint Innovation Lab」の設立を発表した(発表資料 )。様々な端末プラットフォームやOSに対応した携帯電話サービスなどを提供していくという。それぞれのユーザー数は,ソフトバンクモバイルが約1,900万人,Vodafone社は2億5,000万人,中国移動通信は約3億9,000万人。3社合わせて約7億人のユーザーに対して同一のサービスを提供できるとする。