ベンチャー企業のPTPが開発し,2007年から法人向けに販売を始めた「SPIDER PRO」は,8チャンネルの地上アナログ・テレビ放送を1週間分すべて録画できるいわゆる全チャンネル録画機である。インターネット常時接続環境で同社が提供する情報提供サービスと組み合わせて使うことを前提としており,過去1週間分の番組やCMを番組内容や出演者,製品名などを使って検索し,ユーザーが望むシーンを素早く探し出せる点が特徴だ。

PTPが開発した全チャンネル録画機「SPIDER PRO」
PTPが開発した全チャンネル録画機「SPIDER PRO」 (画像のクリックで拡大)

 同社は2008年4月時点で既に,SPIDER PROを約120社に提供している。今のところ,放送されたテレビ番組の内容を,業務として後から確認する必要がある広告代理店や企業の広報/宣伝部門,放送局や番組制作会社などが中心であるという。

 ただし,ユーザーの中には少数であるが個人も含まれている。現時点のSPIDER PROは機能やサービスをプロ向けに絞っており,価格は決して安くない。加えて月々の情報提供料も必要になる。それにもかかわらず,である。

 実は同社は,業務用途だけを狙ってSPIDER PROを開発したわけではない。最終的な狙いはあくまで個人ユーザー。そのために,ユーザーがテレビのコンテンツを徹底的に楽しめるように機器の使い勝手にはとことんこだわったと有吉氏は話す。

 SPIDER PROは何を目指した製品なのか。PTP 代表取締役社長の有吉 昌康氏と,ソフトウエア開発を担当する取締役の籠屋 健氏に話を聞いた。(聞き手は竹居 智久,山田 剛良)


アイデアはありきたり


——全チャンネル・レコーダーの先駆者としてソニーが2004年11月に発売した「VAIO type X」などがありますよねTech-On!関連記事

有吉氏 「VAIO type X」が発表されたときは,正直「やられた」と思いました。やっぱり同じことを考える人はいるんだなぁと,開発スタッフで顔を見合わせた。我々はSPIDER PROの構想を2000年ごろから練り始めました。VAIO type Xが出た頃はまだ確か,プロトタイプがようやく動いたかどうか,というタイミングでした。試作機ができたのは2005年夏から秋ごろだったはずです。

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